つけまをめぐる冒険!新宿二丁目で作家・山下紘加さんとデートなう♡【後編】

 

※前編はコチラ

 

目次

読者の皆様へおわび

 

前回の“デートなう”からかなり時間が経ってしまいました。後編のロケを行おうとしてた矢先、新型コロナが蔓延し、外出自粛を余儀なくされてしまったのです。そこで急きょ企画を変えて、ヒロカこと山下紘加さんにオンラインインタビューを行うことにしました。

 

実は2020年4月、山下さんの新刊『クロス』が発売になりました。

 

 『クロス』

私はどちらの性で、どんな立ち位置で、彼を愛せばいいのだろう。ふとしたきっかけで女性装にのめりこんだ「私」。初めて男性を好きになり、彼に望まれる姿でありたいという願いが生まれーー。

 

“デートなう”で新宿二丁目を舞台にしたのは、女性装を題材にした『クロス』の設定に合わせてだったのです。

 

後編を楽しみにしてくださっていた皆様には大変申し訳ありません。とはいえ、デートなうの裏側や『クロス』についてなど、たくさんのお話を伺い、充実した内容になっています。写真家・宇壽山貴久子さんの素敵な写真と併せてお楽しみください。

※本記事の取材は2020年5月に行いました

 

性が揺らいでいく様を描きたかった

山下紘加さん 写真・宇壽山貴久子さん

 

―― コロナの影響で、デートなうのロケどころか、外出すらできない状況でしたね。自粛期間中、どのように過ごしていましたか?

 

新作を書いている途中だったのですが、外に出られないので、思うようにはかどらなくなってしまいました。普段、カフェなどで執筆しているので、自宅だとなかなか切り替えられなくって……微熱が続いたときもあったし、精神的なストレスを感じていたのかもしれません。

 

 

ーー本当に、早く収束するといいですよね……。さて、『クロス』を拝読しました。デートなうの舞台になった、新宿二丁目を思わせる街や女性装が題材なのですね。

 

そうなんです。実は新宿二丁目には、『クロス』の取材を兼ねて、何度か通っていたんです。“デートなう”のロケのときも、リク君役の人にお化粧したり、洋服を選んだりして、より作品の世界が広がったというか。そこで体験したことを書き足した部分もあるし、すごくよかったなって思います。変なポーズをさせられたりして、恥ずかしかったですけど(笑)。

 

 

――それは失礼しました(笑)。そもそも、『クロス』はどういうきっかけで書いたのですか?

 

少し前から、女装をしている男性がメディアによく出るようになった、と感じていまして。出演する方たちは、「恋愛対象は女性だけど女装をするのが好き」「男性の装いをすることに違和感があって、女装をしたらしっくりきた」「女装をきっかけに、性転換して女性になりたいと思った」など、自分の性的志向や目的、理想像を理解している人が多い印象でした。

 

 

――一時、メディアに「男の娘」「女装子」などという呼称で、女装をした人がたくさん登場しましたね。

 

メディアは視聴者の共感を得ないといけないので、誰が見てもわかりやすいというか、「なぜ女装しているか?」「女装することでどうなりたいか?」がはっきりした方たちに焦点を当てがちなのは仕方ないことだと思うんです。

 

けれど、ジェンダーやセクシュアリティの問題ってすごく奥深くて、掘り下げれば掘り下げるほどわからないことも出てくるのだろうなと。だって、自分の内面や性でさえも、知り尽くしてるわけではありませんよね。

 

 

――確かに、自分のことであっても、知らないことや気づけていないことはたくさんあると思います。

 

“性”って、それ自体がひとつの個性になっていると思います。だから、性が揺らいで曖昧になっていくと、自分でも知らない世界に入り込んでいく怖さもあるのではと。それを追求して書いてみたい、と思ったのが『クロス』執筆のきっかけです。

 

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