校正って何をするの?どうすればなれるの?詳しい人に聞いてみた

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校正に学歴や読書習慣は関係ない

校正を行った実際の原稿

 

では、校正に向いているのはどんな人でしょうか。やはり、日ごろから活字に触れている人だと思いがちですが、「『文章を読むのが好き』『本が好き』という人が向いているとは限らないです」と下重さん。校正をしているうちに、読者としてついつい読みふけってしまって、頭の切り替えが鈍くなることで、文字の誤りなどに気づけなくなることがあるからだと言います。では、学歴はどうでしょう。

 

「学歴は関係ありません。どちらかといえば、校正は職人の世界だからです。ただし、校閲は専門的な分野も多い。例えば医療分野の校正は、何十本もの英語の論文から情報を拾い上げなければいけないので、学力が全く求められないわけではありません。また校正は、考えながら進めないといけない作業の連続なので、地頭の良さや集中力も求められます」

 

校正の役割は大きく、責任も重大です。誤りを見逃してしまうと、そのまま世に出てしまいます。特に紙媒体は、一度印刷してしまうと修正できないため、より慎重なチェックが必要となるのです。

 

これまでに、すんでのところでミスを防いだ、校正のファインプレーの事例を聞くと、「できて当然なので、基本的にはいつも成功させなくてはいけません。ファインプレーは特にありません」と下重さん。逆にたったひとつの失敗が、大きな損失につながってしまうことも。改めて、その仕事の重要性や責任の大きさがうかがえます。

 

テクノロジーによって変わりつつある校正

 

あらゆる業種でDX化が進みつつありますが、校正も例外ではないそうです。かつてはすべての工程が人の手で行われていましたが、テクノロジーで自動化が進めば効率が上がり、校正をする人の負担が減って、数もこなせます。それに伴って、単価を下げることも可能になり、依頼する人もより気軽に校正をお願いできる、という未来を下重さんは予測しています。

 

「校正の費用が1ページにつき2000円だとして、数百ページの単位で何度も校正を入れるとなると、校正費が制作費の大部分を占めてしまうこともあります。実際、”もっと安ければ頼めるのに”という企業の声をたくさん聞きます。テクノロジーが進んでいますし、AIに代わってもらえる部分は代わってもらうべき。

 

そして、校正者がAIをパートナーとすることでページ当たりの単価を下げられれば、校正者は受注数を増やせます。また、AIとの協業によってより専門性が高まれば、校正者の時間当たりの受注単価を上げると同時に、依頼主の費用対効果を高めることも実現できます。テクノロジーの進化で業界の未来は明るくなると考えています」

 

実際に、AIによる校正システムの開発も進んでいるそう。誤りと思われる個所をAIが抽出して、最終的に人がチェックするという風に、校正も変わっていきつつあるのです。

 

校正の仕事に就くには?

 

実際に校正の仕事をしてみたい、と思う方も少なくないでしょう。けれど、校正の求人の多くは、経験者のみの場合がほとんど。理由について、下重さんは「経験年数のフィルターをつけないと、校正を間違い探し程度に考えている、実務に耐えうる技能を持っていない応募者が殺到し、企業が求める応募者を採用することができなくなるためです」と話します。

 

未経験者が校正の仕事に就くのは至難の業。では、どうしたらいいのでしょうか。日本エディタースクールなど、校正の知識や実技を学べる機関に通うのが近道だと下重さん。同スクールでは、安価に受講できる通信講座もあるそうです。ハードルは上がりますが、参考書などをもとに、独学で学ぶのも選択肢のひとつです。

 

技術を一度身に付ければ、本業として仕事にするのはもちろん、副業やパラレルキャリアのひとつとしても選択できるのが校正です。住む場所や時間を選ばずに働くことも可能です。そして下重さんの言うように、市場も広がっています。昔からある仕事でありながら、今後も必要とされ続け、時代に合った働き方も実現できる。それが校正なのだと、取材を通じて気づかされました。(取材・文 月に吠える通信編集部)

 

 

取材協力

日本エディタースクール

東京都千代田区神田猿楽町2-1-14 A&Xビル1階

https://www.editor.co.jp

 

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