校正って何をするの?どうすればなれるの?詳しい人に聞いてみた

 

「校正・校閲」をご存知でしょうか。2016年に放映されたテレビドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』をきっかけに、広く知られるようになった職業です。では具体的に、校正・校閲とはどんなことをするのか。辞書を引くと次のように紹介されていました。

 

 

校正

1 文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すこと。

2 印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すこと。

 

校閲

文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること。

『デジタル大辞泉』より

 

なるほど、この仕事の本質は、誤字脱字をはじめとしたあらゆる「誤り」を見つけ、間違ったまま世のなかに出るのを防ぐことだと理解できました。最近では、校閲も含めて「校正」と呼ぶことも多いのだとか。そこで今回は、もっと深く校正のことを知るため、日本エディタースクールの代表取締役・下重一正さんを訪ねました。

 

目次

校正が求められる場面は広がっている

日本エディタースクール代表の下重一正さん

 

日本エディタースクールは、校正について体系的に学べる数少ない学校。創立50年以上の歴史を持ち、男女問わず幅広い世代の人たちが通っています。また、校正に関するテキストの販売にも力を入れているそう。

 

校正を経て世に出回っているものとして、ほとんどの人がイメージするのは書籍や雑誌ではないでしょうか。けれど実際は、パンフレットやカタログといった商業印刷物や、企業のHPといったWEBコンテンツなどが多くを占めているのだと、校正プロダクションである(株)文字工房燦光の代表取締役も務める下重さんは話します。

 

「紙が主流だった商品のカタログも、今は当たり前のようにWEBでも公開され、海外向けに多言語化もされています。商品の特設ページやSNSも作られるなど、WEBの普及に伴い、企業が情報発信を行う場所や量は以前よりもずっと増えています」

 

インターネットの海。そこに漂う情報は、紙媒体と違ってすぐに修正ができることから、校正はいらないという考え方がかつては主流でした。けれど、その価値観はアップデートされつつあるそうです。

 

「かつて、ある大手企業が運営するメディアで、信ぴょう性に欠ける記事が多数見つかり、大問題になったことがありました。それ以来、企業が運営するオウンドメディアなどの、記事の正確性をチェックしてほしいという依頼が増えています。情報の信ぴょう性がそのまま企業の信頼につながるので、WEBコンテンツへの校正の需要が高まっていて、市場規模も広がっています」

 

インターネット上で発信した内容が、SNSや掲示板などで拡散され、消えずに残り続けることも少なくない現代。発信者の責任は、リアルよりもむしろ重いと言えるかもしれません。

 

 

違和感に気づけるか?も校正の役割

 

誤字脱字や、カレンダーの日付と曜日、商品画像と商品名の不一致といった、目に見える誤りを見つけるだけが校正の役割ではありません。依頼された範疇ではない部分でも、気づいたことを顧客に指摘して、感謝される場合もあるそうです。

 

例えば、企業のWEBサイトの企業理念ページに、「共尊共栄」という表現があったとします。正しくは「共存共栄」なので、通常であれば赤字で修正指示を出します。しかし、企業がメッセージを伝えるため、あえて「尊」の字を使っている可能性があります。

 

このような場合、校正者は、「正しくは共存共栄ですがママOKですか? ママの場合、造語表現なので鍵括弧などでくくりますか?」といった指摘をします。誤字脱字に気づくだけでなく、文章の背景や違和感に気づき、より適切な文章となるよう提案していくのも校正の役割なのです。

 

「何を指摘するか? もですが、どのように指摘するかも大切です」と下重さん。根拠を示さずに、校正者の感覚だけで疑問をぶつけたり、「?」の一文字で誤りを指摘したりすると、校正結果を確認する依頼主の時間を不要に奪うことになり、ひいては依頼主の気分を害することになるからです。校正とは一方的な指摘ではないため、校正を行う先にある、人と人とのコミュニケーションを意識した伝え方をすることで、依頼主と校正者の信頼関係も築かれていくと言います。

 

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