Twitterでバタイユや澁澤龍彦トーク炸裂?!全然ゆるくないご当地キャラ「大崎一番太郎」に会ってきた

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バタイユの本を読む大崎一番太郎

 

昨年、とある「ご当地キャラ」のツイートがTwitterで話題となった。つぶやきの主は、大崎のご当地キャラである「大崎一番太郎」。彼の存在を知らない方は、何はともあれ以下のツイートをご覧いただきたい。

 

 

ジョルジュ・バタイユって哲学者によれば、エロティシズムの本質は「自分が相手に変化をもたらすこと」らしいから、相手が自分の命令どおりに動いたり、自分の発言で右往左往したり、そういう玩具のようにもてあそぶのが楽しくなっちゃうのは、人間のサガってやつなんだよね…(´・ω・`)(2014年4月23日ツイッターより)

 

 

エロティシズムってフランスの哲学者が本を一冊書いても足りないテーマだけし、一歩間違えば、暴力や罵倒で恋人を言いなりにさせるDV彼氏やリストカットで恋人にわがままを言うメンヘラみたいなのを生み出すけど、自分の好きな人と同じ本が読みたいとか、そういうのも「エロス」だと思う。(2014年4月23日ツイッターより)

 

バ、バタイユ?! エロティシズム?! キャラなのにゆるくない、全然ゆるくないけどなんだかものすごく気になるぞ、この大崎一番太郎という存在……!!

 

そんなわけで、「見た目はかわいらしいキャラクターなのに、なぜあのような一切かわいくない文学トークをぶちこんだのか?」という真相を解明するために、いざ大崎駅西口へ——。

 

渦中の大崎一番太郎(以下、一番太郎)と、彼の生みの親であるデザイナーの犬山パパ(以下、パパさん)にお話を聞いてきた。

 

※その他のツイートのまとめはこちら。 バタイユのほかに「澁澤龍彦」についても言及しているので、気になる方はぜひ一読していただきたい。

 

目次

山手線で最も嫌われている大崎駅の「ダークヒーロー」

 

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大崎一番太郎と、彼の生みの親であるパパさん

 

――「大崎一番太郎」ってどんなキャラなんですか?

 

一番太郎:山手線29駅のなかで1番嫌われている大崎駅をPRするためにがんばっているダークヒーロー、と銘打って活動してるよ!

 

なんで大崎駅がこんなに嫌われてきらわれているかというと、山手線で大崎止まりがあるからなんだよね。五反田や品川に行きたい人たちが『あと一駅なのに大崎かよ』といって舌打ちしておりてゆく駅、それが大崎……

 

 

――な、なるほど……大崎一番太郎の性格は?

 

一番太郎:言いたいことはすべて言うね☆炎上上等って掲げているんだ。

 

パパさん:まあ、悪ぶってるけどヘタレですね。ちょっと童貞感があるというか。

 

 

 ――デザインには意味があるんですか?

 

一番太郎:大崎には名物になるモノがひとつも無いから、自慢できるのが山手線くらいしかないんだよね……。それで、体の色は山手線カラーの緑。おなかのマークは大崎駅の位置をあらわしているんだ。

 

大崎は意外と美術館やギャラリーがおおいので、ちょっとインテリジェンスさを出すためにベレー帽をかぶっているんだッ!

 

パパさん:最初はそういう設定だけでしたが、ファンの方に『目が大崎のOで、鼻と口が一番太郎のiに見える』といわれたので、最近はそれも採用して、使わせてもらってます。

 

キャラをアイドル扱いするファン心理こそが、エロティシズムの本質

 

――「澁澤龍彦」や「ジョルジュ・バタイユ」のツイートをしたのはなぜですか?

 

一番太郎:前からちょくちょく作家や文豪の話っていうのはしてたんだよね。最近は酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aの『絶歌』についてもツイートしたし。

 

あのツイートの前に、ご当地キャラのファンていうのは自分の言いなりになるキャバ嬢やホストみたいな役割を求めているんじゃないかって話をしてたんだよね。

 

それで、昔読んだバタイユのエロティシズムに関する文章を思い出したんだ(V)(◎∀◎)(V)

 

それでオカザえもんなら読んでるだろうと思って、無茶ぶりしてみたってワケw

 

okazaemon

2014年4月23日ツイートより

 

 

――ご当地キャラのなかに文学派閥みたいなものがあるんですか?

 

一番太郎:文学じゃないけど、もともと『Twitterでゆるくない発言をする』って流れは『まんべくん』以降かな。一番太郎のTwitterの師匠も、まんべくん。

 

でも、まんべくんは終戦記念日に戦争ツイートをして炎上したのを切っ掛けに、Twitterから卒業しちゃったけどね。ホント、惜しいキャラを亡くしたよ……。

 

 
――パパさんはこれまでにどんな本を読んでいたんですか?

 

パパさん:宮沢賢治とか高村光太郎など、近代詩が好きでした。あとはダダイスト新吉とか山之口貘、澁澤龍彦と寺山修司なども読みましたね。高校時代引きこもりに近かったので、休み時間も図書室にずーっといて、そこで詩の全集をぱらぱら見る、暗い人間でした。

 

本当は寺山修司のような市街劇をやりたかったんです。でも、引きこもりだから友達もいないし、演劇はひとりじゃ無理なので、代わりに着ぐるみをはじめたんです。

 

着ぐるみだったら一人でもできるし、外に出て対人関係のリハビリにもなるんじゃないかと思って。それに、普通の街角にキャラクターがいたら、それだけでその風景がファンタジーになって、楽しいじゃないですか。

 

寺山修司のおもしろいところは、ウソとホントの境目がわからないところなんです。ご当地キャラも、結構そういう部分がありますよね。架空のキャラが現実に存在する地名を舞台に活躍するんです。

 

本来、フィクションであるはずのキャラ同士がTwitterなんかを通じてコミュニケーションをとりながら、新しい企画が立ち上がって現実にイベントができあがってしまったりするところも、フィクションがリアルを侵食していくみたいで、ワクワクします。

 

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