「その企画を本にする必要があるのか」ヒットメーカーの編集者2人がトンデモ企画を一刀両断?

本はギャンブル、5000部を売り切れる企画か

 

出版BOYZの伊藤さん(左)と小谷さん。

 

――この企画を本にまとめると想定した場合、いかがでしょうか? 率直な意見を聞かせてください。

 

小谷俊介さん(以下 小谷):そもそもなんですけど、この企画を本にする必要性があるのか、少し疑問です。この企画では、男女の入れ替わり生活の様子を、文字と写真で伝えるんですよね。入れ替わっている2人の表情や実際の声、周りのリアクションなどの生々しさがあって成り立つコンテンツかなと。

 

これは本の弱点でもありますが、そういった生々しさを出すことは難しい。企画自体は興味深いですが、基本的に映像向きの作品だと思います。

 

 

――まずはコンテンツがどの媒体に適してるかを考えるべきだと……早速耳が痛いです。伊藤さんはいかがですか?

 

伊藤守男さん(以下 伊藤):そうですね、まずは本ではなくてWEBに掲載した方がいいかなと。企画書では10〜20代の人が対象読者とありますが、本の購入者層はだいたい40〜50代。本で出すなら対象年齢層を50代くらいまで広げたほうがいいし、もしこのターゲット層に向けるならWEBの方が適している。

 

例えばブログやSNSに掲載するとか、小説投稿サイト「小説家になろう」やアメリカでも話題になったチャット型小説アプリなどのプラットフォームに作品を載せてみるとかですね。そういったところで若い人の支持を広げていくことですね。

 

あとWEBで出した方がいい理由がもう一つあって、売れるという確証がないと、本にするのが難しいからです。

 

小谷:そうですね、今回の企画内容的にも、まずはWEBで人気を得ないと出版は難しいですね。本はある意味ギャンブルですから。

 

 

――どういうことでしょうか?

 

小谷:本の出版にどれくらいの費用がかかると思いますか?

 

「君の名は。」の企画を考えた筆者。

 

――そうですね……70〜80万円ほどですか?

 

小谷:この企画を本にするなら、写真を入れて、しかもカラーのほうがいいですよね。それに用紙代や印刷代、編集代なども必要です。初版の一般的な発行部数である5000部を刷れば、安くても200万円はかかります。投資と似ていますよ、200万円を投じて果たして利益を得ることができるかです。

 

伊藤:最低でも5000部を売り切れる作品か、未達の場合は残りの部数を買い取ってもらう覚悟がないと、本にするのは難しいですね。