佐野研二郎氏だけじゃない!作家・佐野眞一氏のパクリ疑惑を追及した一冊

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1日、デザイナーの佐野研二郎氏が制作した2020年東京五輪の公式エンブレムの、使用を取り下げることが正式決定した。これは同日、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長と、審査委員代表の永井一正氏、そして佐野氏を交えて話し合い決めたもの。

 

発表後、佐野氏は公式サイトを更新。デザインが酷似しているとして裁判沙汰になっている、ベルギーのリエージュ劇場のロゴからの模倣や盗作を完全否定し、自身や家族への誹謗中傷やプライバシー侵害が続いていることが取り下げの理由だと説明した。

 

しかし前月には、佐野氏が手掛けたサントリーのキャンペーン用トートバッグの30種類中8種類で、部下が第三者のデザインをトレースしたことを認め、取り下げる事態に。そのほかにも、同氏が手掛けた幾つものデザインで模倣疑惑が指摘され、ネットでは炎上状態となっている。

 

連日、世間を騒がせているこのニュースだが、同じ佐野の姓を持つ人物の盗用疑惑が、2013年に出版業界で巻き起こったことをご存じだろうか。

 

佐野氏とは、ノンフィクションの巨人と言われる佐野眞一氏。1997年に『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』で大宅壮一ノンフィクション賞を、2009年に『甘粕正彦 乱心の曠野』で講談社ノンフィクション賞を受賞。数十万部のベストセラーになったソフトバンク社長の伝記『あんぽん 孫正義伝』、犯罪史に残る事件を追った『東電OL殺人事件』など、数々の話題作を発表し続けてきた、“巨人”と称されるノンフィクションライターだ。

 

そんな佐野氏が、これまでに多くの盗用を行ってきたと主張している本が、『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相』である。

 

 

事の発端は、佐野氏が「週刊朝日(2012年10月16日発売)」で連載を開始した、橋下徹大阪市長(当時)のルーツに迫った「ハシシタ 奴の本性」だった。差別や偏見を助長する内容に橋下氏は猛反発。第一回目にして連載は打ち切りになり、謝罪をすることとなった。

 

その後、東京都の猪瀬直樹副知事(当時)のツイートが話題となった。

 

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さらに猪瀬氏は、佐野氏の盗用疑惑に関する情報を次々と発信。それを受けて、WEBメディア『ガジェット通信』が『佐野眞一氏の「パクリ疑惑」に迫る』とした短期連載を始めたり、実際に佐野氏から盗用・謝罪されたというノンフィクションライター・溝口敦氏が、同氏からの詫び状を公開したりと、騒動は収束するどころか大きくなる一方だった。

 

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溝口敦氏の著書から、佐野氏が盗用したとされる文章。ガジェット通信短期集中連載~「ノンフィクション界の巨人」佐野眞一氏の「パクリ疑惑」に迫る(第1回)~より

 

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佐野氏が溝口氏に宛てた謝罪文の一部 溝口敦氏WEBサイト「溝口敦の仕事」より

 

 

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