生け花体験に行ったら楽しすぎた! 若き次期家元はあの探偵小説のモデル

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生け花の魅力は、正解も失敗もないこと

 

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ーどういったきっかけで小説のキャラクターのモデルになったのですか?

 

僕は文学部出身なのですが、児童文学の講義にいらっしゃったのが(著者の)笹生先生なんです。講義の後に会う機会があって、そのときにネタとして取り上げられた感じですね。"家元探偵"って面白いんじゃないか、みたいに盛り上がって。もともと僕が推理小説好きなのもあったんですけど。

 

 

ー性格までモデルになったってわけじゃないんですね。小説のマスノくんみたいに、「我が道を行くトンチンカン少年」だったらどうしようって少しヒヤヒヤしてました(笑)

 

そうですね、あくまで"家元探偵"というジャンルのモデルになっています(笑)

 

 

ー推理小説がお好きということですが、どういった作家が好きなんですか?

 

泡坂妻夫さんの作品が一番好きで、小説も全部読みました。ああいう、ユーモアもあって、みたいな系統のミステリーが好きですね。

 

 

ー自分でも探偵のようなことをしたりとかは…

 

さすがにそれはないですけど、暗号が好きで、卒論も暗号をテーマにして…(笑)

 

 

ーえ〜!

 

知恵の輪とか数理的なパズルとか、そういったものをやる団体に入っていろいろやってました。

 

 

ーそういえば、生け花にもパズルの要素があるように感じたのですが、どうでしょうか。

 

そうですね、近いかもしれないです。最初にイメージした通りにいくことってほとんどなくて、「こう来たからここにいけよう」とか、「同じ花が並ばないように次はここに配置しよう、とか」。ある程度(完成形が)見えてはいますが、花を生けていく中で変わっていく、という感じですね。

 

 

ーずばり、生け花の魅力ってなんでしょう。

 

自由度がすごく高くて、正解も失敗もないことですね。生け花って花だけを使うイメージが強いと思うんですけど、実際にはあらゆるものが生け花にできるっていうのがあって、ワイヤーや布のようなものも使ったりします。型はありつつ、より現代的な方向に自由に自分の考えを出せることが面白いです。

 

 

ー増野さん自身の今後の目標はありますか?

 

生け花に今まで興味がなかった人にも「面白い」と思ってもらえるようにいろいろ活動できたらいいかな、って思ってます。それはうちの流派に限ったことではなく、生け花全体としてみなさんに感じてもらいたいですね。それから、舞台だったりドラマだったり、「こんなところでも生け花って使えるんだ」っていう、生け花の可能性を広げていきたいです。

 

 

―ありがとうございました!

 

総評

 

生け花を体験する前は、「なんかルールとかたくさんありそう」「変なことしたら扇で手を叩かれるのでは?」「そもそもちゃんと作品を完成させることができるのか?」という不安でいっぱいであった。しかし、体験中はただただ楽しく花を生けることができた。

 

それも増野さんの指導のおかげである。終始ニコニコしながら、それとなぁく筋道を示してくださる! 一から十まですべてを教えてくれるのではなく、あくまで悩んでいる時や横道に逸れそうになっている時に声をかけてくれるので、「自分でつくったぞ!」という自信にもなった。

 

いけばな雪舟流の教室では、30代の若い生徒さんが多いとのこと。昼間に開かれるコースのほかに、仕事帰りの生徒さんに向けた「ナイトクラス」があることが、若い人たちがいけばな雪舟流に集まる一つの要因となっているだろう。

 

さらに、お酒を飲みながらみんなで一つの作品を作り上げる「華道夜会」を開催するなど、「生け花をやってみたいけど、何から始めたらいいかわからない」「生け花って格式高そう……」と思って、一歩を踏み出せていない人たちが歩み寄りやすいようなイベントも開催している。

 

今回、いけばな雪舟流で初めて生け花をしてみて思ったこと。

 

「めっちゃ楽しい」

 

この一言に尽きる。みなさんにも、固定観念をかなぐり捨てて生け花を体験してもらいたいと強く思う。(取材・文 チ田一日)

「いけばな雪舟流」公式HP→http://sessyu-ryu.com
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