生物だけでなく純文学にも挑戦したい
――執筆時に苦労したことがあれば教えてください。
前回の『恋する昆虫図鑑』はネタ探しで苦労したんですけど、『LIFE』の場合はむしろ楽でしたね。すべての生物が対象となると、昆虫に比べて生体の数も多いので、ネタ出しが格段にしやすかったです。
それと、マンガが中心ということもあって、字を書く部分も少なく、執筆量もそこまで多くはなかったので、その面でもそこまで苦労したという感じはしませんでした。
ただ、活字にできる部分が少ないというマンガの特徴から、少ない情報量でも読者にしっかりと教訓が伝わるように情報を吟味しないといけなかったので、そこは少したいへんでした。
――今回が二作目ですが、一作目と変わって心境の変化はありましたか?
「しっかりと売れる本を書かないと」って思いました。「この次の作品も出したい、そのためにはオファーにもつながるような作品を作りたい」という欲が出てきたのが、変化としては大きかったですね。結果的に『LIFE』は重版が続いているのでうれしいです。
――『LIFE』の最後のページに、「売上次第では『LIFE2』の刊行を予定している」と書かれていました。次回執筆をされる際には、どのような面からふみこんでいきたいですか?
『LIFE』は、ビジネス書ということもあって、基本的には私たちの生活に役立つ面ばかり書いたんですけど、次回はもっと生物の持つ怖い面にもふみこんでいきたいなって思っています。マウイイワスナギンチャクが青酸カリの8000倍の猛毒を持っていることとか、ベニクラゲが捕食されないかぎり死なないこととか。
あと、今回は自分の知っている生物を中心に執筆をしていったので、もっと範囲を広げて、知らない生物についても書いていきたい。それと実は、生物に関係ない作品も今後書きたいと思ってます。作家だと綿矢りささんが好きなので、そういった純文学系の小説にも挑戦してみたいです。
――これから『LIFE』を読む方々へメッセージをお願いします。
『LIFE』はビジネス書にも分類されているように、勉強になったり、役に立ったりする部分があります。そういった面はもちろんのこと、本当におもしろい生態を持つ生物だけを集めたので、そこにもぜひ目を向けて読んでもらいたいです。(取材・文 谷村行海)