【前編】31音にかける青春。文化版の甲子園「第12回全国高校生短歌大会」レポート

 

団体戦1次リーグ、強豪校が次々に決勝リーグ進出を決める

 

大会2日目は、その場で発表された「声」と「立」の題を詠みこみ、1時間で作歌をする個人戦から競技がスタート。選手・引率者および観客による投票で、各題の上位6位に選ばれた作品が、個人戦決勝に進出することができ、決勝進出者の発表は、翌日の朝に行われることになる。

 

その後、団体戦1次リーグがスタート。初日の組み合わせ抽選会で、AからGまでの各ブロックに3チームずつが配置され、総当たり戦の結果、最も勝率の高かったチームが翌日の決勝リーグに進出することになる。

 

題は「青」「遠」「宙」の3種類。詠んだ歌に対して、5名の審査員のうち、1名(2名のときもある)からその場で質問がされ、選手はそれに応えなければならない。

 

質問は、歌を詠んだときの心情を尋ねたり、題が与えられたときにチームで何を考えたかを尋ねたりと、歌の背景に関するものが多かった。

 

審査員の田中拓也さんは、「青」の題で「青春」を詠んだ選手に「これまでに一番思い出に残っている青春のエピソードはありますか?」と尋ねるなど、具体的な質問を投げかけていた。与えられた質問に対し、選手1人ではうまく返答できない場面もあったが、仲間が小声で助言して、チームとしての返答を出すこともあり、団体戦の良さが活かされているように感じた。

 

歌としては、高崎商科大学附属高校・堀田悠季乃さんの詠んだ「スタンプで交わす会話に/果てはなし/宙ぶらりんの高一の夏」など、LINEを用いた高校生の生活の一場面を切り取ったものから、弘前学院聖愛高校・山口進太郎さんの「青空に/群れ浮かんでるひつじ雲/夏の光をゆっくり食べる」といった日常の光景をユーモラスに描いたものまで、幅広い歌が見られた。

 

最終的に、過去に優勝経験のある福岡女学院高校、茨城県立下館第一高校、岩手県立盛岡第四高校や、昨年準優勝の仙台市立仙台高校といった強豪校が、1次リーグを次々に突破。初出場の弘前学院聖愛高校と久慈東高校も決勝リーグ進出を決め、青森県立八戸高校は、大将・藤田悦子さんの「わだつみが/過去を溶かしてくれそうで/今日の水着は濃い青にする」など、題をうまく詠みこんだ歌を披露し、3日目へ駒を進めた。

 

1次リーグ終了後は、すぐに決勝リーグ1回戦と敗者復活戦の題詠が行われた。題はどちらも「挑」。選手たちは、次の試合に挑むため、次に望みをつなぐため、様々な思いを抱えながら、題詠に挑戦していた。

 

選手は壇上で歌を詠み上げ、審査員の質問に答える

 

5人の審査員の判定が多かったチームが勝者となる

 

 

もう1つの戦い。わんこそば甲子園開幕

 

2日目終了後に、選手交流会が行われた。だが、それは交流会という名の、新たな戦いだった。選手交流会では毎年、岩手県の名物・わんこそばを使った「わんこそば甲子園」が開催される。通常のわんこそばは、お椀に次々と盛られるそばを一人で食べ続け、もう食べられないと個人が判断したら、お椀をひっくり返し、その時点までに食べた杯数を競う。

 

一方、わんこそば甲子園では、団体戦で戦った3人の選手が、1分交代でそばを食べ、3分間で何杯そばを食べられたかを競う。大会の題詠と同じように、時間との勝負が重要になってくるのだ。

 

本戦に出場した21チームに、大会のOB・OGと審査員チームを加えた計23チームを4つの組みにわけ、わんこそばを食べていく。最初の組では、なんと3つのチームが51杯という好記録(通常、15杯でそば1玉とされるため、3分でそば3玉程度を食べたことになる)をたたき出した。

 

その後、2組目、3組目とわんこそば甲子園は進んでいったが、51杯を超えるチームは現れなかった。そして、審査員チームの混ざった最終4組目。会場中の多くの人が、食欲面で高校生に劣る審査員チームの優勝は難しいと考えていたが、審査員チームは落ち着いた箸捌きで淡々とそばを胃袋へ運び、気付いた時には57杯という記録を打ち出し、今年度の優勝をかざった。

 

審査員チームの優勝という異例の展開でわんこそば甲子園は幕を閉じたが、選手は本戦の緊張から解放され、終始リラックスした様子。高校の文芸部で発行した冊子を交換したり、大会で詠んだ歌をお互いに再度読み合って感想を述べたりと、他校の選手と友情を育む良い機会となっている様子だった。(取材・文 谷村行海)

後編に続く

 

 

わんこそば甲子園の様子