【2/3】生き辛さを抱えながら絶叫朗読 「カウンターたちの朗読会」の成宮アイコ 人ってすげー変われるよ、って体現したい

photo:NaokiTajima
photo:NaokiTajima

 

※前回のインタビュー(その1)はこちら

 

人から好かれなくても死なないし、しょうがない

 

―現在は「カウンターたちの朗読会」というイベントにも出演していますね。

 

はい。「こわれ者の祭典」だけじゃなくて色々やりたいな、と思って、2009年から「カウンター達の朗読会」を始めました。

 

私が一番嫌なのが、「障害者だって頑張れる」みたいなキラキラしているイベントで、24時間テレビも共感ができなくて。

 

挫折してしまう人はいっぱいいるのに、頑張ってる人ばっかり映しても、「成功者のビジネス書」にリンクするところが見つからなかったときの気持ちがぶり返すだけで。だったらなんで「こわれ者の祭典」を出演させないんだ、と(笑)。

 

だから、過去の自分と、当時の自分と同じ人たちと、「鬱の人が頑張っています!」と美化したがる風潮へのカウンターパンチがしたいと思って、「カウンター達への朗読会」を始めました。

 

カウンターたちの朗読会

いじめ・家庭内暴力・不登校・ひきこもり・躁鬱・リストカット・・・まっとうに生きられなかった詩人2人がミュージシャン&ライブペインティングと共に「生きること」をさらけだして叫びます。「なににもなれない自分」「どこにも属さない自分」そんなグレーゾーンで孤独と葛藤を抱える僕らのハードルは全部ぶっ倒して生きていこう。あなたの中にある痛みと忘れられないクソみたいな黒歴史が、いつか明日の糧になりますように。

 

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―そういう意味で「カウンター」と名付けたのですね。

 

そうなんです。利き手で正攻法でいくのはもう無理だし、人から「こうしたらいいよ」って言われても、「できなかったらどうしたらいいの?」って思う。うまくいかないなら、こういうやり方もあるんじゃない? カウンターパンチもあるよ? という感じでやってます。

 

一緒にやっている2人(葛原りょう、Tokin)もメンタル系の病気を持っていて、誰かが調子が悪くなっちゃったりしたときは、バトンタッチしながら上手く進めています。

 

 

―成宮さんたちの思いや活動に共感する人もいる一方で、反対派も多いのでは?

 

できればたくさんの人に好かれたいけど、別に好かれなくても死なないし、嫌われてもしょうがないな、と。大切なこと以外は、割と全部どうでもいいんです。

 

ケーキは好きだけど、その上に「イチゴのせる?」「ブルーベリーのせる?」って言われても「どっちでもいいよ!」という感じ。なんならケーキさえあればいいから、上に乗ってるのあげるよ? くらいの(笑)。

 

 

忘れられないファンの死

 

―活動を続ける中で、成宮さん自身に変化はありましたか?

 

はい。ライブの打ち上げで、今は普通に人に話しかけていますが、そんなことができるようになるなんて、昔の自分からは想像できませんでした。メンバーのTokinとは学生の頃に知り合ったんですけど、「当時本当に暗かったよね」と言われますもん。

 

私はお金も地位もメンタルの健康も何もないけれど、「人ってすげー変われるよ」というのは、体現していきたいと思います。

 

 

―イベントをされていて、印象深いエピソードはありますか?

 

お客さんも病気を抱えている方が多く、亡くなってしまうことがあるんです。ある方はイベントにずっと来てくれていたんですが、初めてバイトをして、私への誕生日プレゼントを買ってくれたそうなんです。ちょうどそのころ、私の好きな銀杏BOYZが下北沢限定でCDを出したのですが、私は新潟にいたから買えなかったんです。

 

でもその方が、SNSで「今日は下北に行ってきました」って書いていて、私にも「次回のイベントで、内緒のプレゼントを渡すから楽しみにしてて」とメッセージをくれたので「絶対、銀杏BOYZのCDだ!」と気付きつつ「楽しみにしてるね」って知らないふりをしたんです。

 

CDが欲しかったというわけじゃなくて、初めてバイトをしてそのお金で働いた証をくれようとしたことがとても嬉しくて……けれどその方は、次のイベントの前に自殺してしまったんです。

 

 

―それは悲しかったでしょう……

 

はい。そういうことが何度もあったので、減ったらいいなって思いますね。

 

私がライブをするのは主義主張があるわけではなくて、セーフティ―ネットのひとつというか、悩んでいる方が楽になれる手段のひとつになりたいからです。「成宮アイコみたいに気持ち悪くてもいいんだ!」って選択肢を広げてもらえれば。

 

今の私が、周りにいる人たちにちょっとずつ選択肢を増やしてもらったみたいに、私もその一個になれればと思います。(取材・文 ぶっきー)(その3に続く