【2/3】ノンフィクションライター・北尾トロさん 松本への移住を機に、猟師になった

写真:北尾トロさん2

 

“妄想力”を借りて企画を立てることもある

 

― 企画を立てるときに、特に大事にしているのはどんな点ですか?

 

一番は動機だね。モチベーションがあるかどうか、その企画をどれくらいやりたいかっていうね。ただ僕だって、なんとなく引き受けてしまった仕事もあるし、どうしてもやりたいことばかりじゃない。

 

特に連載企画だと、定期的に何か書かないといけないので、いつも同じくらいの熱量で取り組むのは難しい。だから、モチベーションを高める習慣を付けるっていうかね。

 

例えば変わった味のお菓子があるとする。このお菓子について何か企画を作りたい。じゃあ味の分析をしたり、製造会社に行って取材をしたりしてみようか。いや、自分はそういうことに興味がない。でもこのお菓子は捨てがたい。じゃあ、自分も納得して面白い企画にするにはどうすればいいか?……

 

そう考えて探っていくケースもある。あとは“妄想力”を借りますね。

 

― 妄想力とは何でしょう?

 

さっきの話だけど、宮脇書店を全店回っても、本当に面白いかどうか、自分ではよく分からなかったわけですよ。でも、「回ってみれば何か分かるかもしれない」って妄想することで、ドーパミンを出すっていうか。楽観的に、そこから考えればいいやって。

 

なぜかというと、やってみることでリアクションが来るんです。宮脇書店を回るって言っても、突然訪ねていくので、主要なお店以外は取材が入るなんて知らないわけ。企画を説明しないといけないんだけど、何店も回ってハンコが増えていくと、説明する必要がなくなるの。「これ見てください、ハンコ押してください」って俄然強気になれる。

 

すると、店員さんもお遍路のパロディって気づいて、「くだらないですねー」って笑い出す人もいるわけですよ。

 

そういう風に、ゴールを決めずにやる方が、面白くなる余地が残るっていうか。ゴールを決めて、そこに向かって進むっていうのが、一番嫌いなやり方ですね。