【2/3】ライブをするのはテレビ向きの芸風でないから 芸人・コラアゲンはいごうまんさん 

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※前回の記事はコチラ

 

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これまでに断ったお題はない

 

―喰さんが毎回お題を出されているとのこと。これまでもらったお題の中で、断ったものはあるんですか?

 

それはないです。基本ない。やれと言われたらやりますねえ(笑)。でも、途中でこっちから「これもう無理なんじゃないですか」って申告したものはありますよ。

 

それは危険やからとかゆうのではなくて、僕らが一番怖いのは、ネタができないことが一番つらいので。どうやってもこれ以上膨らまなさそうというものに関しては、途中で一回報告して、「これはもう……キツいっすよ」というのは言いますね。

 

 

―そういってボツになったお題はあるんでしょうか?

 

「“王様”っていう題で何か作れないか?」って言われた時です。いろんな言葉からアプローチ始めていくんですけどねえ。“王様”を検索していくと、有名なミュージシャンの方で「王様」っていうのがいるんです。

 

で、その人のライブを見に行って、「何で“王様”でやってるんですかね」てちょこっと聞かせてもらいましたけど、どこの音楽雑誌でもできるような、ありきたりなことしかできなかった。だから「これは違うな」と。で、やっぱ“王様”っていうキャラクターになってる方なのでね、「これはちょっと…掘っても違うなあ」と思って。

 

海外の国王に会いにいくべきなのか、自分で王国を作って自分で国王と名乗るべきなのか……いろいろあったと思うんですけど、どうやっても壁にぶつかって「どうなんですかねえ」って話して、それはなくなりました。

 

 

―では、最も印象に残っている、強烈だったエピソードはありますか?

 

それはもう、絞り込めないですねえ。帯広のソープランド(※1)も、被災地(※2)も、お葬式(※3)も印象に残ってますしね。出会う人それぞれの人生観も違うから……まあ皆さんいっぱい勝負してきてはるでしょうから。でも、印象に残ってるのでいくと、やっぱ全員ですかね。

 

※1 北海道・帯広にある、後期高齢者しか在籍していないという噂のソープランド「帯広コルト」で、コラアゲンさんの前に現れた「ひとみさん」とは……

 

※2 東日本大震災のボランティアに参加したコラアゲンさんが現地で再会したのは、北海道・美唄駐屯団の方々。実は彼らとコラアゲンさんは、かつてとある合同ミッションを成し遂げていた…

 

※3 「会ったことのない人の葬儀に参列して来なさい」と指令を受けたコラアゲンさん。記帳や焼香は何とかこなすも、お清めの席で故人との関係を聞かれてしどろもどろに…

 


 

必ず誰かの心に刺さることがこの芸の強み

 

―コラアゲンさんは、「僕の細道」と題して、毎年全国ツアーを行っています。続けているのはなぜですか?

 

単純に、テレビとかでできないですね。内容もそうですし尺もそうです。今のテレビはない(求められるネタの時間は)1分とか15秒とかですからね。「刺青(※4)」なんかに関しては、もう13年取材してますから。それを15秒でっていうたら不可能ですよ。

 

2分で3分でっていうたら、1エピソードに絞ってやればそれは不可能ではないかもしれないですが、それで「刺青」の何たるかってものが伝わるわけないし。かろうじて地上波でもできるエピソードをやったにすぎないから、もうライブしかないわけですよ。

 

で、うちの社長が、「テレビ向きではないので、人数は10人、20人単位の少ない人数でもいいから、人の前で語っていくしかない」と。

 

※4 刺青界の重鎮である三代目・彫よしさんに密着取材。ビビリながらも徐々に親交を深めていく。あるとき、彫よしさんの手に小指がないことに気づき、恐る恐るその理由を尋ねてみると…足掛け13年も取材を続けている長寿ネタ。

 

 

―喰社長の提案によってライブがスタートしたのですね。

 

そうですね。喰社長は、「この芸の弱点はスピード感がなく、メディアとかに取り上げられてバーンと脚光浴びる芸ではない。ほんと持久戦で、もう粘り強く、時間をかけてコツコツと目の前の人に語っていくしかないという弱点はあるけども、強みとしては、10人いれば必ず1人は好きになる芸であることは間違いない。必ずだれかの心に突き刺さるものだ」と。

 

笑いは十人十色ですからね。「どういうもので笑います?」っていうのは、10人いたら10人違うわけですよ。狙ったわけではないけど、話の中にちょっといい話の要素がたまたま出てきたんですよね。取材をしていると、いい言葉をくれるおっちゃんがいたりおばちゃんがいたりして、どの人生にも当てはまることを言ってるじゃないですか。

 

前半の30分、「全然おもんないやん」って思ってる人がいたとしても、最後に「ああ、あのヤクザの人こんなこと言ってくれたんや」って思って、すべてが払拭される要素がこの芸にはある。てことで、「時間はかかるけども、各会場に1人ずつ絶対にファンはつくっていける。そういう意味では、売れるかどうか、有名になるかどうかは分からんけども、必ず味方が増える芸ではあるということは約束する。だから旅に出ろ!」と。(取材・文 小糠あお)

 

第3回に続く