【後編】地上波NGの過激中東ネタが炸裂。イスラム教徒芸人が坊主バー&牧師バーで大暴れ?

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※前回の記事はコチラ

 

坊主バー&牧師バーの名物に、「説法タイム」がある。5分~10分程度、お坊さんや牧師さんがありがたいお話(=説法)をする時間だ。この説法タイムを楽しみに来るお客さんも多い。

 

今回は特別に、藤岡さん、中村牧師、サラミさんの3名に説法をしていただいた。史上初のスペシャルコラボバージョン。この日のお客さんは、もれなくご利益の過剰摂取というレアな体験をすることとなったのだ。

 

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お坊さんのありがたい説法

 

まずは坊主バー代表・藤岡さん。お経を唱えてから説法スタート。

 

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浄土真宗の根本には「他力」という考え方があるという。「他力」とは、決してなんでも他人任せにするような「怠け」の意味合いではない。人間は「はからう」生き物であり、よりよく生きていこうとすることで、時に自分を苦しめてしまう。

 

いまこの瞬間ではなく、「過去」と「未来」のことに振り回されてしまいがちになる。しかし、「アホ(愚)」になって、考えてもダメなものは仏様にお任せするという「他力」の考えは、悠々と生きるためのヒントになり得るという。

 

将来への漠然とした不安に襲われたときや、過去の黒歴史に苛まれたときの対処法として活用できそうな考え方だ。

 

牧師が説く神様の愛

 

次に牧師バー代表・中村さん。

 

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中村さんがお話ししたのは、「尋ね犬」のエピソード。ある日中村さんが街を歩いていると、チラシが大量に張ってあった。それは尋ね犬の張り紙で、犬には多額の懸賞金が懸けられていた。

 

どんなに価値のある立派な犬なのだろう、とその犬の写真を見ると、間抜けな顔の雑種であった。さらに、その犬の特徴の欄には「よく吠える」「すぐ嚙む」「うす茶色(もともとは白かった)」などと書かれており、明らかにダメそうな犬。

 

「金銭的な価値は無い。他人から見たらクズのような存在。それでも、飼い主からするとその犬じゃなきゃダメなんです。キリストも同じで、クズのような存在を救うために、十字架にはりつけられたのだ」と悟ったのだそう。「イエスの血だらけの愛で、私たちは必死に愛されているんです。あなたがあなたであるだけで価値があるんです」と、愛と力のこもった言葉が聞く人の心に沁みる。

 

意外とゆるい? イスラム教

 

最後にお待ちかね、イスラム教代表・サラミさん。

 

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日本人の持つ「イスラム教徒=怖い」というイメージをくつがえしたい、というサラミさん。「イスラム過激派は日本でいうオ◯ム真理教みたいなもので、本当に一部の人だけ。イスラム代表とは思わないでほしい」とした上で、シーア派とスンニ派の違いについて「大○家具の父と娘」「A○B48 と乃○坂46」など、時事ネタを取り込みながら説明。会場は大爆笑に包まれ、お客さんからも「すげえわかりやすい」という声が漏れる。

 

「イスラム教は貧しい国で普及したので、何かあったら基本は“我慢”。ラマダン(断食)もそう。我慢することで何事にもありがたみが増すから」とイスラムのしきたりについても解説。

 

また、イスラム教は豚肉禁止・飲酒禁止といった掟があるが、「スープにした豚はNGとは書いてないから、日本では豚骨ラーメンを食べる」「基本的に心の中で悔いればOK」と、シーア派には逃げ道があると明かす。

 

そのおかげ(?)で、「厳粛なイスラム教徒だったはずの父親が、日本の会社ではいつのまにか宴会部長になっていた。麦焼酎を芋焼酎で割って飲むという、北千住の酔っぱらいでもしない飲み方をしていた」というシーア派ならではのエピソードも。

 

厳格に思えるイスラム教も時代によって変化し、新しい考えを取り入れていこうという風潮があることを、ユーモアを交えた独自の観点で説いたサラミさん。笑いと発見の絶えない時間となった。

 

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サラミさんの説法に爆笑するお坊さんと牧師さん

 

こうして濃厚な3宗派の響宴は幕を閉じた。

 

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宗教の枠を超えて記念撮影。ちなみに白服の女性は神主さん。

 

 

牧師バー、坊主バーを一通り楽しんだところで、著書に込めた思いをサラミさんにうかがった。「イスラム教徒=過激だというイメージを払拭したいと思いもあったが、理想的な社会の本質について考えるきっかけを作りたかった」という。

 

もし2冊目を出せるなら、例えばアイドルやアニメと宗教などを絡めて、それぞれのファンが読んでも興味を引くようなものにしたい、という。「既に宗教に興味がある人」だけにターゲットを絞るのではなく、普段宗教との関わりが薄い人へのアプローチを強く意識していることが伝わってくる。

 

サラミさんがメッセージをより多くの人に伝える手段として、「お笑い」を選んだのも必然的に思えた。(ご本人は「お笑い」の道に進んだきっかけはM-1の賞金1000万円に惹かれたから、と仰っていたが)

 

 

そしてあっという間に、仏教・キリスト教・イスラム教の共演は終了。サラミさんに感想をうかがうと、「勉強になりました。根っこの部分はどの宗教も同じなのかもしれませんね」としみじみ。

 

坊主バー&牧師バーも、入り口が宗教になっているため、行きづらいと思うかもしれない。しかし実際に潜入してみると、異宗派お断りなどとということは一切無く、どんな信仰を持っていても、煩悩だらけでも、無神論者でも受け入れてくれる懐の広い空間である。お酒が飲めない人も、その雰囲気を味わいに四谷三丁目に立ち寄ってみてはいかがだろう。

 

そしてイスラム教に興味を持った方は、サラミさん著の『イラン人は面白すぎる!』をお読みいただきたい。イラン人の意外な適当さに、親しみが湧くに違いない。(取材・文 月に吠える通信編集部)

 

店舗紹介

坊主バー(VOWZ BAR)
東京都新宿区荒木町6 AGビル2F
TEL 03-3353-1032
営業時間 19~25時(定休日 日・月・祝)
http://vowz-bar.com/

 

牧師バー
東京都新宿区荒木町6 AGビル3F
TEL 080-4356-6974
営業時間19~24時(毎週木曜日のみ営業)
※毎週日曜日は「月に吠える」でも営業
http://churchatabar.jimdo.com/