こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。ー「こころ」純情小曲集より/萩原朔太郎ー
うつろいやすい人の心を紫陽花(あじさい)に例える朔太郎の感性は、とても繊細で美しいですよね。彼の故郷の群馬県前橋では、この詩にちなんで、毎年「朔太郎紫陽花フェスティバル」というイベントを開催しています。
「水と緑と詩のまち」がキャッチコピーの、前橋ならではの素敵な催しものです。プチ文壇バー「月に吠える」姉妹店で、前橋に店を構えるブックバー「月に開く」も、2018年から本イベントに参加。お店の前に鮮やかな鉢植えの紫陽花を置いて営業しています。
ところがあるとき、スタッフがお店に出勤するとーー
何やら違和感が。紫陽花ってこんなだったっけ? やけに緑緑しい。何かが足りない気がする……。
あっ、花がない!
近づいて見てみてるとこの有様。刃物か何かで花だけ切り取り、持ち去られたようなのです。どこのクソ野郎どなたの仕業かわかりませんが、とにかく悲しい。紫陽花もかわいそうだし、こんなことをする人がいるというのも残念です。
実は新宿ゴールデン街の月に吠えるでも、店頭で栽培していたミントを何度となく盗まれました。悲しいし、腹立たしい。そんなやるせない気持ちをカタルシスへ向かわせるために、我々は2015年、「第一回 ミントはどこへ消えた?文学賞」なる文学賞を開催したのです。
この取り組みはかなりの反響があり、「文壇バーならではの対抗策だ」と、WEBメディアでも面白おかしく取り上げられました。応募総数も120通以上と、予想以上の結果に。面白い作品もたくさん集まり、有意義な文学賞になりました(受賞作はこちらからご覧いただけます)。
でも、本音を言うと。こういった文学賞、なるべくならもう二度と開催したくありませんでした。盗難事件が起こらないことが一番なのですから。ですが、仕方ありません。
というわけでやります! 今回はミントではなく紫陽花です!
以下、詳細を確認のうえ、紫陽花を盗んだことがある方もない方も、盗まれたことがある方もない方も、ぜひ積極的にご応募くださいませ。(文・月に吠える通信編集部)
第1回 紫陽花はどこへ消えた?文学賞
募集内容
「紫陽花の花が盗まれた」もしくは「紫陽花の花を盗んだ」という場面もしくは設定が作中で使われている小説
応募資格
不問
枚数
400字詰め原稿用紙換算2~5枚程度
賞金
優秀賞(1作) 5000円
特別賞(3作)紫陽花にちなんだ何か
締め切り
2019年7月21日(日)
審査員
月に開く店主&スタッフ
応募方法
テキストかワード形式で、電子メールにて応募ください
※名前(ペンネーム可)、電話番号を明記
応募先
ajisaibungaku01★yahoo.co.jp
※★を@に変更ください
主催 プチ文壇バー 月に吠える&ブックバー 月に開く