【バーチャル読書会】テーマ「青春って素晴らしい!」

2月に開催予定だった「青春って素晴らしい!」がテーマの読書会は、大雪によって中止になってしまいました。ただ、参加表明してくださった方たちから、紹介する予定だった本を教えてもらいましたので、ご紹介します。コメントをいただけた方は併せて掲載しています。

Kさん(金融経済アナリスト)

シアター/有川浩

Sさん(会社員)

太陽の季節/石原慎太郎

Fさん(主婦)

ぜったい多数/曽野綾子

曽野さん臭いし、時代設定も古いですが、就職活動がうまくいかないという主人公の立場とか、お金持ちと貧乏人の格差とか、今の人が読んで共感できる部分はとてもあると思います。

Aさん(アルバイト)

新釈 走れメロス /森見登美彦

偏屈な京大生達の青春の一幕が、有名小説と同名の短編に描かれています。有名小説を土台にしつつも、この作者の持ち味である「変人奇人だけれども愛すべき京大生達がわいわいやっている作品」であるのには代わりありません。

けれども私はこの作者の作品では、この本がいちばん青春的ではないかと思うのです。それは、青春の中に紛れ込んだ苦さや、頑なさゆえの辛さ、自我の強さゆえに選べなかった普通の学生生活に対する後悔など、「くだらない、どうしようもない生活」をだらだら続けてゆくからこその後悔がまざまざと描かれていて、読んでいる自分が身につまされ、かつての気持ちを思い出してしまうからです。

Mさん(会社員)

東京S黄尾探偵団/響野夏菜

将来を嘱望されるスポーツマンでスポーツ推薦で特待生として高校に入った主人公。肩を壊し、周りから手のひらを返された扱いをされる。特待生という肩書きのため、そのまま在籍することも出来ず、通信高校へと入りなおすが、人間不信となった主人公の前に初耳の兄だと名乗るが登場する。その高校の一室ではずるい・きたない・あくどい」を三原則とする探偵団が結成されていて・・・その中で展開していくどたばたコメディです。今ではあまり見ない、ラブ成就などの明確な目的のある物語ではなく、ただただ個性豊かな面々がドタバタと日常を面白おかしく展開していきます。

青春ってスポーツとか恋とかも大切だけど、ただこうやって仲間と騒ぐ時間もすごく楽しくて大切な日々だったんだなと思える作品です。大人になると、なかなか味わえない「本人にとってはいっぱいいっぱいの日々」だけど、周りから(本人にとっても後から)見るとゆるやかで些細な日常を味わえる作品です。

Kさん(会社員)

君が壊れてしまう前に/島田雅彦

主人公は1975年の関東に住む、中学2年の男子。本作は中2の元旦から中3の大晦日までの、丸一年間の日記です。主人公はクラシックを聴き、爆弾を調合し、手淫にふけり、喧嘩をし、山に登り、女子のおっぱいに夢中。一年の間に家庭は揉め、友人は変化し、手探りの恋も大きく移ろいます。そんな中で青く危なっかしく、かつ淡々と、日記は365日綴られていきます。
私も中学生は経験しましたが、「男子」を経験したことはないのです。中学男子は、こんな毎日を送っていたのか! 日々こんなことを考えていたのか! そしてこのドス紫に渦巻くエネルギーと行動力、なのに妙に冷静!何なんだ!!

私は北国の田舎で育ち、狭く、静かで何もない守られた環境で、わがままで能天気に中学時代を過ごしました。主人公とはほぼ真逆の環境です。珍しい国の珍しい人達の珍しい暮らしを見るように、この本を読みました。昔中学生だった男性は、都会で中学時代を過ごした方は、そして今中学生の青少年らは。この一冊にどのような感想をお持ちになるのか、ぜひ聞いてみたいのです。

マスター

悪童日記/アゴタ・クリストフ

10代のころ、アイデンティティのかけらすら見いだせずにいて、尾崎豊やブルーハーツを聴き、薄っぺらい小説を書き、不良たちの輪に交じることで自分の居場所を無理に作り出していた僕にとって、青春とはこじらせたガキどもが恰好つけようとして、すべりまくっている痛々しい時代のイメージしかありません。それでも、青春に憧れは持っています。僕だって”リア充”になりたかったんです。そんなぬるい考えを吹き飛ばしてくれる青春小説が本作です。

「ぼくら」という双子の兄弟が主人公。戦争のため、彼らがばあさんの家に疎開してきたところから物語が始まります。登場人物はかなりエグいやつばかり。このあたりの人物描写も秀逸で、どんどん引き込まれます。少年たちは、時には人殺しさえもして、戦火の中、いや、人間社会の中を生き抜いていくのです。そこには痛快さのかけらもない。新聞のように淡々と事実を語る形式の、悪童による「日記」を、僕らは淡々と見せつけられます。平和を訴える主張などありません。プロパガンダもない。人間という動物が生き延びていく様を語っているだけ。でも、これも青春。実際にこんな青春を送っている人も必ずいるはずですし。そう考えて推薦しました。