【エピソード2】壁一面に本棚のあるゲストハウス 旅人たちそれぞれの物語

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長野に呼ばれた女の子

 

 

それ以前に、自分は一体この先の人生をどう生きていくべきなんだろうか、みたいなことをさ

『雪のなまえ(著:村山由佳)』より

 

長野に越してきて数週間めの頃、「piseの投稿から飛んでフォローさせていただきました!」と、私の個人アカウントに連絡をくれた子がいた。プロフィールを見ると、同郷、東北の子。フィルムカメラや本、喫茶店が好きらしい。仲良くなれそうだ。長野に来たら案内するのでぜひ会いましょうね、と約束をした。

 

たまたま手に取った小説が、長野が舞台だった、呼ばれている気がする、と投稿していたことがあって、おいでおいで、なんてメッセージを送ったりした。piseの本紹介で載せた本を読んでくれたり、お互いの投稿にいいねをしあってもう半年以上が経つ。

 

仕事にもだいぶ慣れてきた頃、一度まとまった休みをもらって地元に帰省することにした。せっかくだからあの子に会ってみたいな。「帰省するので会いませんか」と連絡してみた。「まさかお声をかけていただけるなんて、嬉しいです!」とすぐ返事が来た。と、思ったら。

 

「ですが実は、来週長野市に引っ越します。引っ越し後、風音さんに会いにpiseに行こうと思っていました。ぜひ、長野でお会いしたいです!」

 

えっ、長野に引っ越すの? いやもちろん会いたい! 引っ越しから数日、早速彼女が会いにきてくれた。話を聞くと、piseの投稿を見ているうちにゲストハウスに興味を持って、盛岡のゲストハウスに一人で泊まりに行ったらしい。そこで楽しい時間を過ごした余韻の中でゲストハウスの求人を調べていたら、長野のゲストハウスの求人が出てきたそうな。

 

これは、今しかないかもしれない、と思って深夜の1時過ぎ、思い切って応募のメールを送り、トントンと採用が決まり。トランク一つで長野にやってきたという。怒涛の展開。ようこそ長野へ。あなたがいると、ここはどんな町になるでしょうね。

 

旅に正解なんてない。旅程をつめて、観光名所を周り、名物を食べ尽くす。それも旅だ。宿や、ふらっと入った喫茶店にこもり、だらだら本を読む。それも旅。自分の部屋で読んでも響かない一節が、旅先では違って見えることもある。

 

旅は自分の体を遠くへ連れて行ってくれる。本を開けば心を遠くへ連れていける。旅に出ても、いつかは帰ってこないといけないし、どれだけ本に没頭しても、ページから顔を上げれば生活は続いていく。それでも人は今日も旅に出るし本を開くのだ。(文・風音)

 

ゲストハウス&バーPise

長野県長野市東後町2−1

WEBサイト:https://nagano-guesthouse.com

インスタグラム:https://www.instagram.com/guesthouse_pise_nagano

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