【前編】本好きの聖地!「紀伊國屋新宿本店」にまつわる8つの謎を、中の人に聞いてみた

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本好きの聖地、紀伊國屋新宿本店 photo by hitoshi mita

 

 

本好きなら誰しもが一度といわず、新宿を訪れるたびに足を運ぶであろう聖地、紀伊國屋書店新宿本店。もはや、「新宿の顔」といっても過言ではないこちらの店舗だが、地味にいろいろと謎がひそんでいることに皆さんお気づきであろうか?

 

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例えばこの時代にエレベーターガールがいたり、1階に化石屋さんがテナントを構えていたり、4階で突如エスカレーターが消えたりなどなど……気付いてるよね、ずっと前からモヤモヤしてるよね、そうにちがいない。

 

そこで、そんなモヤモヤを解消すべく、紀伊國屋の中の人たちに突撃取材を敢行することに! 今回ご協力いただいたのは、店長・西根徹さん、総務部課長・佐藤雄介さん、コンシェルジュ・松倉桑子さんの3名だ。

 

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左から佐藤さん、松倉さん、西根さん

 

 

紀伊國屋の謎1 「なぜエレベーターガールがいるの?」

 

かつては百貨店などに当たり前のようにいたエレベーターガール。時代の移り変わりにより、今ではその姿を見る機会は少なくなっている。だが紀伊國屋新宿本店では、見目麗しいエレベーターガールたちが、その容姿に負けず劣らない美声で、日々お客さんたちのアテンドを行っている。しかし、この時代になぜだろう?

 

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エレベーターガール。写真はイメージで紀伊國屋さんとは関係ありません。 photo by Carpe Felin

 

 

—紀伊國屋さんには、なぜこのご時世にエレベーターガールがいるんでしょうか?

 

佐藤さん「エレベーターガールは正式には『オペレーター』といいます。なぜいるのかというと、大勢のお客様が一度に乗りこんでしまうと危険だからです。お客様の安全を第一に考えて配置しております」

 

また、建物の構造上(エスカレーターが4階までしかない)、エレベーターごとに停止階が違うなど、少々複雑な動きをするらしい。それをスムーズに乗りこなすにはオペレーターが必要、とのことだ。現在は7名のオペレーターが勤務しているようである。

 

 

—エレベーターガールは、紀伊國屋の名物のような印象ですよね

 

佐藤さん「最近はエレベーターガールがいる場所も少ないですからね」

 

 

—人件費を考えると、削除されていく対象なのでは?

 

佐藤さん「でも、やっぱりお客様の安全と経費は比較できるものではないですからね」

 

 

さすが紀伊國屋書店、「お客様第一」という、すばらしい精神。今後ともぜひ、エレベーターガール文化を絶やさず後世に伝えていってほしい。

 

 

紀伊國屋の謎2 「1階の化石屋さん、買う人はいるの?」

 

紀伊國屋新宿本店に訪れたことがある人なら、誰もが一度は思ったのでは。「なぜ化石屋さんがあるの?」と。テナントが入るにしても、一階の一等地に、よりによって化石屋さんって。買う人は本当にいるのだろうか?

 

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店内には化石や鉱物が所狭しと並んでいる

 

 

—1階にテナントを構える、あの謎の化石屋さんはいったい……

 

西根さん「あちらは、『東京サイエンス』さんという、化石や鉱物を販売する会社が運営している当店の売り場です。取引としては40年以上になるんじゃないでしょうか。

 

最初は『東京サイエンス』さんから化石や鉱物を仕入れて各店舗の店頭でフェアをしたり、展示会に一緒に出店して、『東京サイエンス』さんが化石や鉱物を、私たちが化石や鉱物の本を販売するというように、フェアやイベントでご一緒してきました。

 

そのような中で、たまたま1階の店に空きができたので、ご出店いただくことになりました。もう20年ぐらいになるとおもいます。ちょうど、映画の『ジュラシックパーク』が上映されたあたりですね。その後、拡張オープンしたんですけど、そしたら今度は隕石が売れたんだよね」

 

佐藤さん「そうなんですよ。じつは拡張オープンして2日目くらいで、ロシアで隕石が落ちたというニュースがあって、それがきっかけなのか、200万円くらいの大きな隕石をお客様に買っていただけました。

 

東京サイエンスの社長さんはすごく目利きの方で、テレビ東京の『なんでも鑑定団』で化石の鑑定があるときには、鑑定人として出ていらっしゃったりもするんですよ」

 

 

—なるほど。失礼ながら「買う人がいるのかな?」と思っていましたが、意外と売れるものなんですね。

 

佐藤さん「ひとつ売れると、お店で本が何十冊売れるよりも利益があるような商品もありますからね。単価が高いのと、競合が少ないということもあります」

 

西根さん「先月も売り上げがよくて、各売り場の中で一番伸び率が良かったんですよ」

 

 

確かに化石屋さんの前を通ると、いつもお客さんの姿でにぎわっている印象だ。熱心なファンにとっての聖地であり、愛され続けてきたお店なのだろう。

 

 

紀伊國屋の謎3「なぜお釣りをトレイに置くの?」

 

これは、編集長コエヌマが日々抱いていた疑問だ。紀伊國屋では、おつりの小銭をトレイに乗せて返すのが常である。

 

モテない学生時代を送っていたコエヌマは、女性店員にそのような返し方をされたとき、「この女性は僕の手を触るのが嫌なのでは……」と妄想し、勝手に落ち込んでいたらしい。実際はどうなのだろう?

 

 

—紀伊屋さんでおつりをもらうときに、手渡しでなくトレイに入れて渡すというのは何か意味があるんでしょうか?

 

松倉さん「トレイを使うのは基準になっていますね。お札は手渡しですが、小銭は一目でいくらあるかわかるようにトレイにしています」

 

西根さん「歴史的にひもとくと、私が入社したとき、30年前ですが、出納課というものがあったんです。その当時は出納課の人が奥でレジを打ち、売り子がフロントでお客様にお会計をする、という形にカウンターの仕事分かれていました。

 

その頃の出納課の人は本当に神業のように、たくさんの売り子を相手に、正確にトレイにお金とレシートを入れて渡してくれました。そのトレイが使われ続けているんです。

 

それで、現在では、お札は数え間違いがないように手渡し、小銭は釣り銭用の機械から出てくるので、レシートと一緒にトレイに入れてお返しするというふうに統一しています」

 

佐藤さん「あとは、手に直接もらうのを嫌がるお客様もいますからね」

 

なるほど、決して手を触りたくないからではないんですね! 良かったね、編集長!

 

 

紀伊國屋の謎4「なぜ5階にだけショッピングカートがあるの?」

 

紀伊國屋新宿本店には、5階の医学書専門コーナーにだけ、ショッピングカートがある。しかし、ほかの階には無いのに、なぜ5階にだけ?

 

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ほかの階には無いのに、なぜ5階だけに?

 

 

—5階の片隅にショッピングカートを見つけたのですが、これは何なのでしょう?しかも、5階にしかないですよね?

 

西根さん「よく気がつきましたね、これは相当よく見ていないと普通は気付かないですよ(笑)。医学書は分厚くて大きい本が多いので、お客様に楽をしていただきたいと思ってショッピングカートを置いています。

 

1〜3階は、お客様が多くて手狭になってしまうので、カートを置けないんです。なので、この5階のカートはほかの階への持ち出しは禁止させていただいています」

 

ここでもお客様のことを第一に考える、紀伊國屋の精神が表れていたのだ。医学書をお求めの方は、ぜひ活用していただきたい。

 

 

残る4つの謎についても迫ります。後編に続く(取材&文 マナ・コノ)。

 

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