※前回のインタビュー(その2)はこちら
「ていねいな暮らし」系になりたいけどなれない
―ところで、石丸元章さん(ライター/小説家)が人生で強い影響を与えたというお話を聞いたのですが。
はい。石丸元章さんも連載していた「BURST」というサブカルチャー誌がすごく好きで。私の頭の中にあった世界は、今流行っている「ていねいな暮らし」とか、雑誌「リンネル」とかではなくて、その「BURST」だったんです。
でも地方にいると、同じような趣味の人とはなかなか知り合えなくて。「ていねいな暮らし」系の人になりたいけど、私は全然そうはなれないんです。
何度も「私もそっち側に行こう」「その方が幸せだ」と思って、大好きな蛭子能収さんの漫画を全部捨てたり、「BURST」を売ったりしたんですよ。でも自分の感じる「幸せ」と合致しなかった。
―成宮さんにとっての幸せとは、何だったのでしょうか?
自分の幸せはこれ(「カウンターたちの朗読会」や「BURST」、蛭子さんの漫画など)だからしょうがない、という感じです。でも、今でも「ていねいな暮らし」系への憧れは消せない。
庭で大きな犬を飼ったり、育ててるいちごでジャムを作ったり、オーガニック素材でクッキーを作ったりしたい。逆に、若い頃に結婚して、AEONとか行く人にも超あこがれる。ネイルして、ジャージにクロックスとか履きたかったです。リア充になりたかったんです(笑)。
でも、自分の憧れる幸せは、自分の本当の幸せじゃないなっていうことに気付いてしまいました。だけど、これからも自分の憧れとは違う人生を送るだろうなって覚悟はあります。
―それでも、成宮さんは幸せなんですよね?
はい。この前、新宿ロフトプラスワンで蛭子さんに初めてお会いしたときに、全部諦められました。私の幸せは蛭子さんが原点にあったので。
ほっこり系の幸せには、憧れることはできても、なることはできないっていう覚悟はしようと思って。それで今、蛭子さんの漫画も「BURST」もプレミアの付いた価格で買い直したりしてます(笑)。
あなたの心の叫びを絶叫朗読します
―成宮さんが活動を続ける原動力について教えてください
高村光太郎さんが「詩を書かないでいると死にたくなる人だけ詩を書くといい」と言っていて、そうだよなと思って。だって面倒くさいじゃないですか。活動したりとか、告知をしたりとか。
そういうことをしなくて済むなら、何もせずに旅行に行ったりして楽しく暮らせる人になりたい、でもそういうことに幸せを感じられないので、最終的にこれをやるしかなかったんです。やらないに越したことはないな、とは今でも思っています。
―最後に、次回のイベントについて聞かせてください。
毎回恒例の、「あなたの言葉を代わりに絶叫いたします」という企画があります。これは140文字以内で送ってもらった皆さんの心の叫びを、私たちが絶叫朗読する企画です。
会場にいる人たち全員に、その場にいない人の言葉とか、何も言わないで帰っていく人の気持ちとかを共有することに意味があると感じます。「ああわかるな」と、人の言葉を読んで共感することで救われたりすることもあるので。ぜひ送ってもらいたいです(取材・文 ぶっきー)。
インタビューを終えて
自分が生きていて感じる理不尽さ、不安、憤りを素直な言葉で表現し、それを聞いた多くの人に共感や感動を与える成宮アイコ。
今回のインタビューでも、「ポジティブに」「こうあるべき」といった息苦しい括りにとらわれない、ありのままの思いを聞かせてくれた。
次回のイベントで、彼女は一体どんな心の叫びを聞かせてくれるのか。今から楽しみでならない。
イベント情報
生き辛さを抱える全ての人へ捧げる カウンター達の朗読会vol.7
~きみの手でカウンターパンチをするための57577~
2015年7月11日(土)
OPEN 18:30 / START 19:30
前売 ¥1,500 / 当日 ¥2,000(共に飲食代別)
詳細はコチラ:http://rooftop.cc/aiko/2015/05/29191710.php
【あなたの言葉を代わりに絶叫いたします】
140文字以内のメッセージとお名前(ハンドルネームでも結構です)を添えて、件名を「カウンターメッセージ」とryo_kuzuhara★yahoo.co.jp (★を@に変換してください)まで送信してください。当日、会場に来られない方のご応募もOKです!(※必ずしもすべてのメッセージを朗読できるとは限りませんのであらかじめご了承ください)
締切:2015年7月08日23:59