原作と映画どっちがお好き?映画化された名作小説4編を紹介(アメリカ・イギリス文学編)

みなさん、映画と小説、どっちが好きですか?

きっと「どっちかだけなんて選べない!」という方も多いはず。そんなみなさんのために、今回はアメリカ・イギリスの文学作品から4篇を選んで、映画化された小説をご紹介します。原作小説を読んでから映画を観るもよし、映画を観てから小説に戻るもよし。物語の世界に浸ってみてください。

目次

 『グレート・ギャツビー』F・スコット・フィッツジェラルド

『グレート・ギャツビー』は1925年にアメリカで刊行され、フィッツジェラルドの代表作として知られています。ニューヨーク郊外の社交界を舞台に、華やかなパーティーシーンと、登場人物たちの抱えるさまざまな思惑が交錯する物語です。那的な美しさや切なさが込められた本作は、今も多くの読者を虜にしています。

日本では作家・村上春樹の愛読書としても有名になりました。(なんと村上さんはこの作品に傾倒するあまり、自身で日本語訳を手がけてしまったそう)。

1920年代アメリカを代表する小説としてたびたび映画化・舞台化されている本作ですが、今回は2013年公開の『華麗なるギャツビー』をご紹介します。謎めいた大富豪・ギャツビーを演じるのはあのレオナルド・ディカプリオ。パーティーシーンには現代的なエッセンスが加わり、豪華で臨場感のある映像に。自分もギャツビーの邸宅に招待されたような気分になること間違いなしです。

 『ロリータ』ウラジミール・ナボコフ

幼い少女への欲望を抱く大学教授・ハンバードの獄中手記、というショッキングな設定で書かれた『ロリータ』。表題は語り手が心を奪われてしまった少女・ドロレスの愛称に因んでおり、アメリカ中を股にかけたふたりの逃避行や関係性の崩壊を描いています。

1955年に刊行されてから現在まで、様々な議論を呼んでいる作品ですが、今もなおアメリカ文学の名作として読み継がれている理由は、おそらく緻密に計算されたストーリーが多くの謎を秘めているからではないでしょうか。作者のナボコフはロシアからアメリカへ亡命した過去をもち、文学はもちろん、語学や自然科学など、幅広い分野に精通していました。言葉遊びやメタファーに溢れた文体は、今もなお多くの文学者を悩ませ、また惹きつけてやみません。

1962年と1997年、それぞれ2回映画化されている『ロリータ』ですが、どちらもドロレスを演じた若手俳優たちと、その衣装に注目が集まります。ハート型のサングラスや真っ赤な口紅など、一度観たら忘れられないような、鮮烈なインパクトを残すスタイリングが印象的です。原作小説と映画のどちらにも、ハンバードがロリータに好みの衣服を買い与える場面が描かれています。

ひらひらとした子供服に身を包み、自由奔放に振る舞うドロレスですが、彼女は本当に自由なのでしょうか? 1950年代の開放的な空気感の中、衣装という視点から物語に切り込むこともできそうです。

 

『ハワーズ・エンド』E・M・フォースター

今度はがらっと雰囲気が変わり、舞台は1900年代初頭のイギリス。理想主義で文化的な中流階級のシュレーゲル家と、現実主義的な実業家のウィルコックス家が織りなす人間模様を描いた小説です。

物語の中心はシュレーゲル家の長女マーガレット。音楽や文学を愛し、男性とも対等に議論を交わす知的な女性であり、ロンドンの実家ときょうだいたちを支えています。結婚とは何か、階級とは何か、家とは何か……。社会のあり方が大きく変わっていく中で、他者と他者がわかり合おうとする際の機微が描かれます。

現在購入することができるのは「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」に収録されているバージョンのみ。ページの分厚さに一瞬怯んでしまうかもしれませんが、きっと時間を忘れて物語にのめり込んでしまうはず。

ちなみに、表題の「ハワーズ・エンド」はウィルコックス家が所有する郊外の別荘のこと。マーガレットの目を通したハワーズ・エンドは、時の流れの美しさを一心に受け止める、唯一無二の存在です。さまざまな建物や風景の描写も本作の魅力のひとつではないでしょうか。1992年に公開された映画版では、こうした情景の美しさを余すことなく堪能できます。邸宅内のインテリアに も、シュレーゲル家とウィルコックス家の価値観の違いがあらわれています。

監督のジェームズ・アイヴォリーは他にもフォースター作品の映画化を手がけており、本作はアカデミー賞で最多9部門にノミネートされました。

『贖罪』イアン・マキューアン

最後にご紹介するのもイギリスを舞台にした作品です。

作家に憧れる早熟な少女・ブライオニーが犯した偽りの告発と、それによって引き裂かれる恋人たちを描いています。1935年のイギリス、第二次世界大戦中のフランスとイギリス、そして現代のイギリスという時代の流れを通して、ブライオニーが自身の罪とどう向き合い、どう償っていくのか、その過程が描かれます。

単なる歴史小説、ロマンス小説という枠を飛び越え、「フィクション」というジャンルそのものへの深い洞察に貫かれた本作は、イギリスの権威ある文芸賞のひとつ・ブッカー賞の最終候補に選ばれています。

小説ではブライオニーの「贖罪」が物語の中核を為していますが、2007年に公開された映画『つぐない』では、恋人たちのエピソードによりスポットライトが当たります。ブライオニーの姉で大学を卒業したばかりのセシーリアと、姉妹の屋敷に働く家政婦の息子ロビー。身分の差を超えて愛し合うふたりでしたが、ブライオニーの告発で運命が狂ってしまいます。性犯罪者の濡れ衣を着せられたロビーは、第二次世界大戦で最前線に赴くことに。一方のセシーリアは家族と絶縁することを選び、ロンドンで看護師となってロビーの帰りを待ちます。

ふたりは再び結ばれることができるのでしょうか? ブライオニーによる「贖罪」はどのような結結果となるのでしょうか?ぜひ物語の結末を見届けてくださいね。

おわりに

いかがでしたか? なお今回紹介した映画4本は、NetflixやAmazon Primeなど、各種ストリーミングサービスでの視聴・レンタルが可能です。ぜひお楽しみください。(文 めえたろう)

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