「紅茶=女性的」のイメージはどこから来たのか?歴史を紐解くと見えてきた意外な事実

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アフタヌーンティーの誕生

紅茶文化の象徴とも言えるのが英国「アフタヌーンティー」だ。3段になったティースタンドに色とりどりのお菓子が乗せられ、仕立ての良い服を着た給仕さんが紅茶をサーブしてくれる姿は誰もが思い浮かぶだろう。アフタヌーンティーは1840年代、英国の名家ベッドフォード公爵家より流行したと言われている。

 

細かい背景は不明だが、それまで午後5時ころからスタートしていた夕食が8時~9時頃に移行した。当主の夫人であったアンナ・マリアは、元来の夕食時間であった5時ころに空腹を感じるようになり、自室でお茶とともにバター付きのパンなどを食べるのが日課になった。来客のある日は自宅の応接間を開放し、お菓子を食べながら客人と社交を楽しんだ。これがアフタヌーンティーの始まりである。

 

そして上流階級に愛されたアフタヌーンティーの習慣は、中産階級の女性たちにも広がっていったのだ。このころに紅茶は女性の嗜みであるという認識が徐々に世間へ定着していったのだろう。

 

世界中の女性に愛されるように

紅茶の文化は、立場や階級に縛られることなく、世の女性へ愛される文化として成長していく。その後押しとなるのが、1864年ロンドンにオープンした「ティールーム」だ。女性が1人で出歩くことが難しかった時代、ティールームは男性のエスコートがなくても利用できる店として、休息や待ち合わせの場所として多くの女性に活用された。

 

この文化は隣国のフランスにも波及する。1903年にはパリの洋菓子店「アンジェリーナ」がケーキショップの併設店としてフランス版のティールームである「salon de thé(サロン・ド・テ)」をオープンした。これで現代の紅茶文化がほぼ完成したと言える。

 

おわりに

登場は男性の文化だったものの、ティーガーデンの登場からは女性に支持され、紅茶の文化は女性の社交の場として広まっていった。現代でもティールームやティーサロンは多くの女性に愛されている。だが紅茶は、男性でも大いに楽しめる文化である。

 

お洒落なティールームには入りづらいという人もいるかもしれないが、そういった場所だけが紅茶の文化ではない。仕事の合間にティーバッグでサッと紅茶を淹れて、お菓子でも食べて一息つけば、それは立派なティータイム。

 

最近ではスーパーや薬局などでも多くの紅茶が売っていて、香りや産地の異なる何種類かの紅茶が入ったアソートパックなどもある。スイーツを思わせる甘い香りから、コーヒーのようなしっかりとした苦味があるものまで幅広く、さまざまなお菓子や食べ物に合わせやすいのが紅茶の魅力である。この記事を読んで少しでも興味を持った方がいたら、まずは気軽なところから好みの紅茶を見つけてみてはいかがだろうか。(文 イワミズコウタ)

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