【3/3】人生の豊かさは失敗を楽しめるかどうかで決まる 芸人・コラアゲンはいごうまんさん

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※前回の記事はコチラ

 

目次

水道橋博士が「絶対に本にするべき」

 

―今回、本を出すきっかけは何だったのですか?

 

経緯で言うと、(浅草キッドの)水道橋博士がすべてです。元々水道橋博士が、僕が「ザ・ノンフィクション」というドキュメンタリー番組に出た時の回を見てくれていて、「おもしろそうやなあ」と思ってくれはった時期に、博士の「草野キッド」という浅草キッドさんがやってる番組に呼んでもらって、体験談を何個か話したんです。そしたら博士が、めちゃくちゃ食いついてくれて。

 

そこからすでに博士の中では、「これは、もはやテレビの枠では収まらないので、絶対書籍化すべきだ」ていうのは9年前からずっと言っててくれて。いろんなところで援護射撃をしてくれてたんです。

 

ことあるごとに「コラアゲンはいごうまんは面白い、ライブを観てほしい」って言うて、幻冬舎の博士の担当者さんにもずっと「一回観てほしい、行ったら分かるから、これは絶対本にするべきだって分かるから!」って口説いてくださって。それで(担当者に)ライブを観にきてもらって、よしってGOサインが出たということなんです。

 

 

―水道橋博士のように、玄人の方からの評価が高いの比べると、正直、一般の人からの知名度は低いように感じますが、それについてはどう思いますか?

 

やかましいわ!(笑)でも救われますよね、ほんまに。18歳の時にこの世界に入って、目指していた形とは程遠いとは思うけども。(笑)やっぱ有名にもなりたいし、大勢に認められたいです。国民の半分が知ってくれていて、面白いって言われたいけども、残念ながら28年もやって、僕はそこにいってない。普通に電車乗れるし、誰も芸人やってるなんて知らない。

 

そんな時に「俺はおもろいと思うよ」って言うてくれる人がいるっていうのはね、それだけで「もうちょっと頑張ろう!」っていう気持ちになるじゃないですか。

 

それはライブ会場でもそうやと思いますよ。20人の前で喋って、全然ウケなかった、反応なかったと。でもその中で1人「めちゃめちゃ面白かったです。僕はやり続けてほしいです」っていうその一言で、その日救われるじゃないですか。そういうことだと思いますよ。

 

一般の人と水道橋博士を分けるつもりはないですけど、こんなすごい人がおもろいって言うてくれてるやん!っていうことは、たしかに支えられますよね。

 

 

―ただ、もちろん水道橋博士だけでなく、応援してくださるファンが全国にいらっしゃるかと思います。

 

そうですね、全国ツアーを支えてくださっている、主催してくださる人達が当然いるわけです。この人達はイベンターでもなければプロでもなんでもないですからね。一般の人が有志でやってくださっているんです。「この人間をなんとか埋もれさせないように、どんな形でも世に出さなければいけない」という気持ちだと思うんです。

 

最終的に世に出すのは、我々ではなくて、業界の方とか幻冬舎とかが最後は出さんとあかんのやろうけど。でもそこまでいくには、途中でやめたらあかんわけで、やめさせないためにも保護していこうっていう気持ちでやってくださる方々が多いんですよね。

 

ライブツアーは2005年から始めて、もう11年ですからね。ここまで続けるには、興味を持ってもらわんと。家でライブをやらせてくれはる主婦の方もいますし。少数派でも、気づいて見つけてくれる人もいるんです。

 

スリリングなシーンの中でこそ見えてくるもの

 

―コラアゲンさんを見出してくれた恩人である喰さんに対しては、どういう思いがありますか?

 

あの人がいないと、僕はやってませんからね、この仕事。だからほんと命の恩人やし、ひいては仕事を離れての生きてく上での道しるべというか方法論を教えてくれた方です。

 

 

―道しるべとは?

 

負の要素をプラスに変えるというのが僕の芸風ですけど、この場合誰の人生でも絶対うまくいかへんことが必ず出てくる。その時に、「くそ!失敗した!」で終わらすのか、「いやいや逆にこうなれた」と思うのかどうか。ここで人生の豊かさは変わってきてしまうんでですね。

 

それを楽しめるというのは大変難しいことやし、つらいことはつらいことなので、多分その時は僕もよう楽しめないですけど、意識としてはどっかにありますね。いつも喰さんの言ってる「それを楽しまないと!!」

 

何回かスリリングなシーンがあるわけですよ。「もうだめや……」って鬱になっていくんやけど、そうなった時に、見えてくるもんがあるんですよね、俯瞰で。「いやいやそれが面白いことやし」って。

 

 

―では、今後の目標を教えてください。

 

小さいドラマとか事件を紡げるようになりたいですね。ダイナミックなものしかできなかったんです、今までは。それこそ、ヤクザ事務所行ったり、インド2ヶ月行ったりすれば何か起こるわけです。大学生が行っただけでも居酒屋で1時間は喋れますからね。

 

でも僕もまだそのレベルで、なんか事件が起こらんと喋れない。被災地とかもそうですけど、行ったらドラマがあるっていうところに行くのもいいけど、それ以外のことができるようになっていかないと。

 

 

―最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

 

一緒に疑似体験してもらって次の日も「頑張ろう」と思ってもらったり、ただ笑ってもらったりするだけでも何でもいいんですけどねえ。ちょっと現実を忘れられる時間になればいいですね。(取材・文 小糠あお)

 

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