紀伊國屋の謎7「4階までしかないエスカレーター」
エスカレーターを利用して上の階を目指したのに、あれ? なぜか4階で終わってる! 紀伊國屋新宿本店の売り場は8階まであるはずなのに、なぜエスカレーターは4階までしかないのだろう。
—売り場は8階まであるのに、エスカレーターは唐突に4階で終わっていますよね?これはなぜなんでしょうか?
西根さん「51年前にこのビルができたときには、2階から4階までしか本の売り場がなかったんです。(※5階から9階までは事務所やテナントが入っていた)それでエスカレーターも4階までしかない、ということです。
その後、出版点数が格段に増えたので、どんどん5階、6階と売り場を拡張していくことになりました。7階8階ができたのは比較的最近ですね。下りを作るかとか、ほかの階にも作るかなどはこれまでに何度も打診しましたが、それはこの建物の構造上できないんです」
なるほど。書店の増床の歴史がエスカレーターにあらわれているそうだ。これからは、「昔の人はここまでしか来れなかったんだなあ……」と、過去に想いを馳せながらエスカレーターに乗ってみるのもいいかもしれない。
紀伊國屋の謎8「ホールとフォーラム(画廊)」
本屋さんでありながら、紀伊國屋ホールやフォーラムを有し、紀伊國屋演劇賞を主催。様々な文化活動を行っている理由について聞いてみた。
—本屋さんなのに、ホールやフォーラムがあるというのも変わってますよね。
佐藤さん「なぜ本屋なのにフォーラムやホールがあるかといいますと、創業者である田辺茂一が、文化や芸術にすごく興味や愛着があって、文化・芸術の情報発信の場としてこの店舗を使いたかったからなんです。それで本屋とは関係ない施設を作っていたのではないでしょうか」
西根さん「フォーラムになったのはここ最近で、創業当時から数年前までは画廊だったのです。紀伊國屋画廊では安野光雅さんや四谷シモンさんらも、頻繁に展示を行っていたんですよ」
ただ本を販売するだけでなく、長きに渡って文化や芸術の発展に貢献し続けている紀伊國屋さん。だからこそ、本屋さんという枠を超えて、多くの人々に愛されているのかもしれません。
中の人にお話を聞いてはじめて、紀伊國屋新宿本店にまつわる謎の多くは、紀伊國屋の長い歴史に由縁がある、と解明することができた。これまで抱いていたモヤモヤが、かなりスッキリしたぞ。ありがとう、紀伊國屋。ありがとう、中の人。
中の人の親切対応に非常に心打たれたので、筆者は今後とも紀伊國屋贔屓でいこうとおもいました。みなさんもぜひ、紀伊國屋を訪れた際には、館内をぐるっと見回して「むふふん、私はこの謎について知ってるもんね」と悦に浸ってみてはいかがだろうか(取材&文 マナ・コノ)。
紀伊國屋書店HP
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/
「アメトーーク」ロケ敢行記念 「読書芸人」おすすめ本フェア開催中
又吉直樹さん・光浦靖子・若林正恭さんの「読書芸人」が選んだそれぞれ10点ほどの書籍を、番組内では詳しく触れられなかったものも含めてすべて揃えています。
日時
2015年 6月 19日 ~ 7月 22日(延長の場合あり)
場所
紀伊國屋書店 新宿本店 2F