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さて、謎解きも後半戦。残る疑問も解決して、紀伊國屋新宿本店を丸裸にしちゃいましょう!
紀伊國屋の謎5「地下のレストラン街で、店員さんのオススメはどこ?」
腹が減っては戦ができぬ。仕事もできぬ。紀伊國屋新宿本店の地下にはレストラン街があり、きっと書店員さんたちも行きつけのはず。数ある飲食店の中で、どこが人気なの?
—地下のレストラン街でオススメの店舗はどこですか?
西根さん「どの店舗も全部オススメですが、カレー屋の『モンスナック』さんは週1回は行きますね。エネルギーが欲しい時はカツカレー、早くすませたいときにはササっと出てくるポークカレーを注文しています」
松倉さん「私は『モンスナック』さんだとダルカレー(豆のカレー)が好きです」
佐藤さん「『モンスナック』さんはスープカレーとは名乗ってないけど、スープカレーがはやる前からサラサラのカレーを出していました。カウンターのお店なので一人の方でも入りやすいですよ。
私は、できたばかりの『すし三崎丸』さんがおすすめです。おどろくほど本格的なにぎり寿司を、安い値段でいただけますよ」
取材後、実際にモンスナックに行ってカレーを食べてみたのだが、確かに美味だった。日本の家庭的なカレーとは異なるが、どこか懐かしい味にスプーンが進み、たちまち完食。豊富なメニューを全制覇したくなるほど、病みつきになりそうだった。
紀伊國屋の謎6「本のコンシェルジュってどれくらい本に詳しいの?」
紀伊國屋新宿本店の一階にある、「本のコンシェルジュ」。本に関しての案内を行う、総合窓口のような役割らしいが、どのような業務を行っているのだろう? そして、コンシェルジュはどのくらい本に詳しいのだろうか?
—「本のコンシェルジュ」ができたのは比較的最近ですよね?
松倉さん「2012年3月の終わりにちょうどコンシェルジュというものができて、最初は2階にカウンターがありまして、昨年1階に場所が移動しました」
—コンシェルジュさんは、どのくらい本に詳しいんでしょうか?
松倉さん「当店のコンシェルジュ業務の基本は総合案内ですが、自分がこれまでに担当してきたジャンルについてはある程度お勧め本を紹介することはできると思います。私は文芸書や児童書などを担当し、今も好んで読んでいますが、自分が担当したことがないジャンルに関しては、各階の棚の担当者と相談しながらのご案内になります。
各売り場に本を仕入れて棚に陳列している、ジャンルごとのスペシャリストがいます。私たちコンシェルジュは、この複雑な館内全体の総合案内として、自分だけで解決できないお問い合わせを受けた時は、各階の担当者にお客様を繋ぐ役割を担っています」
—これまでに、何かむずかしい依頼はありましたか?
松倉さん「多いのは、『入院している人にお見舞いに持っていきたい』というような、ご本人ではない方への贈り物などですね。その方の人となりが分からないような場合だとお勧めしにくいです。
私たちとしては、『(本を探している本人が)いままでにどんな本を読んでおもしろかったですか?』という質問から始めて、そこから別の作家さんを勧める、という方がご紹介しやすいですね。
—本にどれくらい詳しいのか、挑戦状を叩き付けてくるお客さんはいましたか?
松倉さん「私が担当したわけではないのですが、すでにご自身で買った本についていろいろ質問して、その本を当てられるかどうか、コンシェルジュを試すような方はいたようです」
—本を探してほしい、という方もいらっしゃると思うのですが、タイトルが曖昧な状態でも探し出すことができるのですか?
松倉さん「何で得た情報かというのが分かれば、例えば『テレビで見た』などであれば調べることはできますね。『本屋にあったのを見た』というのであれば、そのジャンルに詳しい担当に聞きます。あとは、『何色の表紙か』というのも、担当者であれば見つけ出すことができる場合もありますよ。
これからの季節ですと、『読書感想文を書くには何がいいですか?』というような質問もふえてきますね」
*そんなわけで、コンシェルジュ・松倉さんに本をお勧めしていただきました! 好みを伝えた上で、どのような本を勧めてくれたのかというと……
コエヌマ
「一昔前のものが好き。安部公房のようなちょっぴりSFチックな作風や、中上健次の重厚な作風がとくに好き。現代作家でのお勧めは?」
→大江健三郎、中村文則の『教団X』
マナ・コノ
「純文学が好き。川上未映子、町田康のような、ちょっとひねくれてる最近の作家でお勧めは?」
→又吉直樹『火花』
松倉さんは仕事と子育てでお忙しい中、合間をぬってかなりたくさんの本を読まれているそう。松倉さんに会ったら(最近は、スタッフの教育など他の仕事もあって、なかなか会えないようですが)、みなさんもぜひ一度、本のお勧めを聞いてみてはいかがだろうか?