ミントが消えた。また消えた。
上記写真を見て欲しい。これは、この「月に吠える通信」の運営元であり、新宿ゴールデン街にあるプチ文壇バー「月に吠える」で栽培しているミントだ。ミントを使用するカクテル・モヒートを作るときに、少しでも新鮮なミントを使いたい、という思いで苗を買った。
わざわざ苗を育てなくても、実はモヒートの原液は市販されている。この液体とソーダを混ぜれば、モヒート風味のカクテルが簡単に作れる、という代物だ。
だが、そんなものを使うのは邪道という考えで、「月に吠える」では創業以来、一貫してミントを栽培しているのだ。
しかし、実はこれまでに7~8回、ミントを盗まれている。「月に吠える」の閉店時間の深夜2時、ミントはいつも通りの様子で定位置に佇んでいるのだが、閉店作業を終え、翌日の夕方にお店に来ると、このように忽然と姿を消していることがしばしばなのだ。
ミントが盗難されたことを話すと、「月に吠える」のスタッフやお客さんたちが、続々とミントの苗を買ってきてくれた。
しかし、感涙にむせぶ間も無く、ふと気が付けばミントは消え去っている。誰かに持ち去られてしまうのだ。人情の町・新宿ゴールデン街でこのようなことが起こるとは、信じたくない。しかし、残念ながら事実であるのだ。
スタッフが以下のような書置きをしてくれても、ミントは容赦なく盗まれた。
外に出しておくのが悪い、という意見もあるだろう。だが生命力の強いミントとはいえ、店内に置いておくと、日光と風通しが遮断されてしまうため、枯れてしまうのだ。植物はやはり外で育てないといけない。
どうすればミントの盗難を防げるのか? 防犯カメラを設置したり、警察に通報したりなど、いろいろな手段があるだろう。鳥居を置いたらどうか? というユニークな意見もお客様からいただいた。
しかし、我々は文壇バーだ。文壇バーなりの方法で、このミント窃盗事件をポジティブなものに変えられないだろうか。そう考えたとき、以下の企画を思いついた。そう、文学賞の開催だ。
以下、詳細である。
第一回 ミントはどこへ消えた?文学賞
募集内容
「ミントの苗が盗まれた」という場面もしくは設定が作中で使われている小説
枚数
400字詰め原稿用紙換算2~5枚程度
賞金
優秀賞1本 5000円
特別賞 ミントの苗
締め切り
2015年8月12日(水)
審査員
月に吠えるマスター
応募方法
テキストかワード形式で、電子メールにて応募ください
※名前(ペンネーム可)、電話番号を明記
応募先
info★moonbark.net ※★を@に変更ください
主催 プチ文壇バー月に吠える
プチ文壇バー「月に吠える」では、今後もミントの苗を栽培し続ける。つまり、盗難のリスクは常に付きまとうのだ。であれば、この事件をネタにして、少しでも文学界を盛り上げられれば。そう思って、「第一回 ミントはどこに消えた?文学賞」を開催する運びとなった。
この文学賞は、ミントが盗難される度に開催する予定だ。ネタではあるのだが、至って真剣な文学賞である。ぜひ多くの方に応募していただきたい。(文・コエヌマカズユキ)
※第3回月に吠える文学賞の募集も受付中です!(~2015年12月20日まで。詳細は公式サイトを参照)