会場が緊張感に包まれる中、出場者によるプレゼンが進められていく。真摯に企画を説明する学生がいれば、演劇仕立てで企画を説明する学生、号泣議員のパロディや手品を披露して会場を沸かせる学生など様々だ。
途中、審査員による質疑応答では、「その企画の面白さ以外の価値は?」「売ることを考えると市場が小さすぎるのでは?」「あなた自身とその企画はどうリンクしているのか?」などの鋭い質問も飛び、決勝大会ならではの厳しい一面も覗かせた。
そして栄えあるグランプリに輝いたのは「恋愛昆虫図鑑(慶應義塾大学・篠原かをりさん)」。プレゼンでも昆虫への偏愛ぶりと底なしの知識を披露し、会場からは終始笑いが起こっていた。
準グランプリは「No.1スカウトマン直伝!20歳のためのコミュニケーションの教科書」となった。決勝大会に残った企画は、出版各社と書籍化の交渉を進め、進展があれば公式サイトで発表していくとのこと。
審査員長を務めた土江英明氏(ダイヤモンド社)は「オンリーワンの企画、異質なものを組み合わせた企画、市場性のある企画など、編集会議ではなかなか出ない濃い企画が並んだ」と総評。紙の本が厳しい状況にも触れ、「20年も30年も続くイベントになって欲しい。そのためにも、出版甲子園をできるだけ多くの人に広めてほしい」と来場者に呼びかけてイベントを締めくくった。
学生はもちろん、紙の本を愛する全ての方は、本年度も開催する第11回出版甲子園に向けて、ぜひ公式サイトをチェックしていただきたい(取材・文 コエヌマカズユキ)。
<出版甲子園>