ピザになったことがあります
―……常に苛立ちと悪意を抱えている?
そうなんです。本当にすべてにムカついていますね。人と一緒にいればいいけど、一人のときは、目の前を誰かが歩いてるだけで「邪魔なんだよッ!」ってブチ切れそうになりますし、実際キレてますね。
まあ、普段はそれをなるべく抑えるようにして生活しているから、お酒を飲むとタガが外れることもあります。
―酔っぱらうとそんなにひどくなるんですか?
度を越して酔っ払ったときはそうですね。そういう日は記憶がまったくないこともあるんですが、後日その間の話を聞くと自分で自分に引きますね。「どこの狂人の話だよ」と耳を疑います。酔っ払ったときの自分の話を他の人から聞くことほど怖いこともそうそうないですよ。
―例えばどんな失敗談があるんですか?言える範囲で。
うーん。朝起きたらスポーツにまったく興味のない私がなぜか巨人軍のユニフォームを着ていて、友達が血まみれになって床に倒れていたこととか。あと、ピザになったことがありました。
―えっ、どういうことですか?
飲んでるときに、酔っぱらって女友達に電話をかけたらしいんです。全然覚えていないんですけどね。その子とは近々合コンをする予定があったから打ち合わせのために、次の日にも電話を掛けたんですよ。そしたら、「相手の人にはオルガちゃんがピザだってこと言ってもいいの?」って言われたんです。
意味がよく分からなくて「何が?」って聞いたら、前の日の夜、私はピザになりきってその子に電話をしてたらしいんですよ。
―……話が見えないです。
私も友達にそう告げられた瞬間はまったく同じ意見でしたね。よく話を聞いてみると、自分自身がピザになっているという設定で、相手にピザが作られる工程を延々と語っていたらしいんです。友達も驚いたでしょうね。
電話に出た瞬間からずっと「今、トマトソース塗られてる。あ、今度はピーマン乗っかってきた!」とか「はぁ~ん! また違う種類のチーズかけられちゃったぁ! このままじゃ、クワトロフォルマッジョになっちゃうよ~!!」とか、そういうことを言われ続けたわけですから。
最初は友達も意味が分からなくて、「ピーマンがどうしたの?」みたいに聞いてたらしいんですけど、だんだん「ああ、コイツ、自分のことピザだと思い込んで喋ってるんだ」ということに気付いて、4種類のピザが焼き上がるまでずっと話を聞いていてくれたみたいなんです。
酔っぱらうとそういう奇妙なヤバさが出てきますね(笑)
―ちなみにピザは好きなんですか?
大好きですよ! 一度シンクロしちゃってますから、もう他人だと思えないんですよね。まあ、そのときのことは全然覚えていないんですけど。
私より面白い人が出てくるのかが心配
―作家としての今後の目標を聞かせてください。例えば芥川賞を受賞するとか?
面白いって言われたいです。あの人の書く小説は面白いよね、とか、あの人は面白いって。それは面白い小説を書きたいって意味なんですけど。
結局、小説なんて「面白いか面白くないか」だけじゃないかなって自分では思っているので。現状では身近な人にしか読んでもらえないのですが「面白い!」と言ってくれた人以外からの感想を訊くとひどいものです。「きちんと文章になっていてすごいと思いました」とか。
きっと、読むの苦痛だったんでしょうね。相手の時間を無駄にしてしまって申し訳ないなと思います。つまらないことは害悪だと思っているので、面白くない小説なんて読む価値ないですもん。だから、みんなに面白いと思ってもらえるものを書きたいです。
芥川賞? 欲しいです、もちろんそれは! 最高にキャッチーな賞ですもんね。
―人生ではどんな目標がありますか?
金と男を手に入れたいですね。メジャーになって売れて、お金もしっかりもらえるようになって、ファンにもどんどん手を出していきます。人生、色と金ですよ。美少年から年上のお兄さままで、興味の範囲は広いです。可愛い女の子や綺麗なお姉さんも好きですよ。みんなどんどん私のことを好きになればいいのに、って思います。
私は自分のことをとても素晴らしいと思うと同時にまったくの無価値だとも思っているので、好きになってくれた人にはとっても優しくしますよ。私のことを好きにならないなんて損! と息巻く反面、好きになってくれたなら相応のものを返さなきゃと思っていますから。私に会えて良かったと思って欲しいんです。そう思われないなら、私と会う価値なんてないですからね。
ちなみにですね、今はパトロンを探してます。執筆活動に集中するためのお金が欲しいですね。「応援してるよ」という言葉よりも、お金を出すという具体的な行動が大事ですよね。目に見える愛情ですよ。
まあ、最終的に将来は、経済面も精神面も安定した生活を送りながら、仕事となったら「世の中みんなF●CKだよ!」と唾を吐くようなビジネスパンクを目指してます。「オルガちゃんて、ババアになっても大変そう~」とまわりが同情心と優越感を覚えているのを眺めてニヤニヤしながら、心おだやかに暮らしていきたいです。
―ありがとうございました。最後に「第二回月に吠える文学賞」へ応募を考えている方たちにメッセージをお願いします
私より面白い人が第二回で出てくるのかが心配ですね、出てこないんじゃないかと思っているので。傲慢と期待を込めてそう思ってます。
―……塚本さん、かなり変わっていますね?
いえ、私は普通ですよ。これが世界のスタンダードです。