【1/4】萩原朔太郎さんに謝りたい! ~勝手に”月に吠える”って使ってごめんなさい~

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2012年に設立した「月に吠える文学賞」。文壇バーが主催するというユニークな試みが話題となり、数々のメディアに取り上げられた。公募ガイド社が毎年開催している、優れた公募・コンテストを表彰する「2013 公募アワード」では特別賞を受賞。第一回は合計118通もの応募が集まり、大盛況に終わった。

 

第二回では、賞金や運営資金をクラウドファンディングで募るという試みに挑戦し、目標金額を達成。その勢いのままに、さらに賞の知名度を広め、才能あふれる新人作家を発掘し、文学界にムーヴメントを起こすべく、月に吠える文学賞の責任者である私コエヌマが奮闘していたその矢先―。バーを訪れていたとあるお客様の一言に、たちまち我に返った。

 

お客様「許可は取ったの?」

コエヌマ「えっ?」

お客様「月に吠えるって名前。勝手に文学賞に使っていいの?」

コエヌマ「……」

お客様「萩原朔太郎の関係者に怒られるかもよ?」

コエヌマ「……!!」

 

許可、取っていませんでした。完全に無断使用でございます、どうしよう……。とはいえ、萩原朔太郎氏は亡くなっているし、どなたに連絡すればいいのだろう。

 

調べてみると、萩原朔太郎氏の孫であり、多摩美術大学で教鞭をふるう萩原朔美氏が、直系の親族の筆頭ということが分かった。この方に連絡を取ればいいんだ!

 

しかし、調べれば調べるほど怖気づいていく。何せ、経歴がものすごい。あの寺山修司氏と共に、伝説の劇団「天井桟敷」の立ち上げに関わった方なのだ。1970~1980年代にかけて一時代を築いたサブカル雑誌「ビックリハウス」の初代編集長でもある。そして、空手の達人でもあるらしい……。

 

だが、今後も「月に吠える文学賞」を運営していくのなら、この問題はぜひクリアにしておきたい。そもそも、お店の名前に「月に吠える」と使ってしまっているため、文学賞どうこうではなく、一度ごあいさつする必要があるだろう。

 

マスターは何時間もかけて、萩原朔美氏宛に手紙をしたためた。「月に吠える」というバーを経営していること、「月に吠える文学賞」を設立したこと、勝手に「月に吠える」と使ってしまい、どうにか謝罪したいこと……。書き上げた手紙を、ドキドキしながらポストに投函した。

 

数日後、マスターの姿は多摩美術大学にあった。萩原朔美氏とアポイントメントが取れ、お目にかかれることになったのだ。果たしてどんな方なのだろう。月に吠える文学賞について、どんな反応をするのだろう。緊張をこらえ、大きく息をついて、教授室の扉をノックした。(文・コエヌマカズユキ)

 

その2に続く