【第1回】月子を甲子園へ連れてって 出版甲子園グランプリへの道2016

目次

 

世の中に出ていない企画を考える難しさ

 

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続いてナツミさんの番。「思いつくだけ書いてきたので、結構あります。全部で14個です」と企画書を取り出す。大きく「ガイド系」「インタビュー系」に分かれているという。

 

ガイド系だと、「埼玉県民が紹介する池袋ガイド(ナツミさんは埼玉在住)」「名作文学ガイド」など。いずれも単なるガイドではなく、少々ひねりを利かしているのが特徴だ。

 

例えば「名作文学ガイド」は、ただ名作を紹介するだけでなく、文豪の「生きるのが辛い」「布団から出たくない」などのネガティブ発言ばかりを紹介したり、名作をラノベ風にアレンジして紹介したりと、文学に疎い読者にも受け入れられるよう工夫している。

 

しかしこじらせ文学系だったら、すでにフランツ・カフカのネガティブ発言をまとめた『絶望名人カフカの人生論(飛鳥新書)』がある。名作の現代アレンジも、『新釈走れメロス 他四篇(祥伝社文庫)』『もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら(鉄人社)』などがある。

 

 

またエリアガイド系にしても、『ウヒョッ!東京都北区赤羽』『翔んで埼玉』などの作品と差別化を図る必要がある。そう伝えると、ナツミさんは「意外と出てるんですね、世の中に。本って……」とポツリ。

 

 

インタビュー系は、「初恋」「尊敬する人」「就活」「故郷」などについて、定点観測的に様々な人に伺うというもの。「月に吠えるさんで今回企画をやらせてもらうので、せっかくなのでゴールデン街を舞台にするのがいいかも。いろんな人に、初恋とか就活の思い出をひたすら聞くっていうのはどうでしょう?」

 

綾乃さんは、「有名人じゃなくて、普通に生きている人にストーリーがあるはず、というのは個人的に読みたいです」と興味を持った様子。僕も、「初恋」「就活」などは少々弱いと感じたが、ナツミさんがほかに挙げたとある題材が、非常に面白くなりそうだと感じた。Amazonで探してみると、類書もない。これはいけるかも!

 

また、ガイド系にもインタビュー系にも当てはまらないが、ナツミさんがほかにあげたのは「○○が無かったとき」という企画。現在は当たり前のように普及している○○が無かった時代、人々はどういう時間の使い方や過ごし方をしていたのか、を検証する企画だ。

 

世代論や社会学的な内容にもなるし、❍❍が無かった当時のライフスタイルから、現代人が学べる要素を盛り込めれば、実用書としても成立しそうだ。リサーチや検証は大変かもしれないが、ほかに無い本が出来上がる可能性は十分にあるだろう。

 

思いつくままに14もの企画を考えたというナツミさんも、発表しながらだいぶ整理できたようで、「自分の中でどの企画にするか、だいぶ絞れました! 次回までに決めて、方向性も考えてきます!」と頼もしく宣言した。

 

そして第一回目の企画会議は終了した。

 

恒例の罰ゲームはバンジージャンプ?

 

二人にそれぞれの印象を聞いてみた。綾乃さんはナツミさんについて、「聞いていた通りの美人でした。初めましてって挨拶したとき、キラキラしてるオーラが出てたんです」とまだ委縮している様子。

 

それを聞いたナツミさんは、「なんかちょっとほめすぎ。もっと腹を割っていいんですよ」と苦笑い。そして「LINEのやり取りの印象(※)で、すごいおとなしい子かと思ってたら、可愛くてふんわりして普通の子だって思った」と発言する。

※二人は対面するのはこの日が初めてだが、スケジュール調整のため、グループLINE上で会話はしていた

 

すると、綾乃さんは「だいぶ刺さってますよ……」。実は綾乃さん、バーのお客さんから、「月に吠えるのスタッフの中で一番個性がないよね」と言われたことがあり、それ以来「普通」と言われることに恐怖を覚えているのだ。

 

ナツミさんが「いや、普通ってそういう意味じゃなくて、全然しゃべらない子だと思ってたから、普通に喋ってくれる子なんだなって意味で……」とフォローするも時すでに遅し。綾乃さんは屍のようになってしまったのだった。

 

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そんなチグハグ(?)な二人だったが、恒例の罰ゲームの話になると、途端に意気投合。バンジージャンプを提案してみると、二人とも声を揃えて拒否した。

 

ナツミさん「絶対無理です!」

綾乃さん「死ぬじゃないですか、あんなの!」

ナツミさん「というか、なんで罰を受けなきゃいけないんですか?」

 

それに対し、「罰があった方が面白くなるから」と僕。「やらないように頑張ってくださいね」と、第二回目の企画会議に向けて発破をかけたのでした。(文 コエヌマカズユキ)

 

一回目の企画会議を終えて

 

ナツミさんの感想

やはり、考えたものを一度外に出して、人に意見をもらうと、一人では気づかなかった観点や穴がみつかるものだなと思いました。

 

綾乃ちゃんの企画は個人的にも非常に興味があるもので、どんな「○○女子」の生態を挙げてくるのか、とても楽しみです。そして綾乃ちゃん自身の生態も、徐々に知っていきたい(笑) 。まずは一次通過して、去年のリベンジを果たしたいです。バンジーは嫌だ!

 

綾乃さんの感想

企画を「本」という完成形に仕立てあげることは、かなり大きなエネルギーを使うんだなと思いました。罰ゲームが執行されないように頑張ります。

 

ナツミさんは、オーラからきらきら全開で素敵な方。自分にはない女子力を見せつけられましたね……でも同時にとても魅力的な方でもあるので、今回の企画以外でも親しくしていただきたいです……。ナツミさんの言うことなら何でも言うこと聞きます。

第2回に続く

 

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