【第3回】月子を甲子園に連れてって 第11回出版甲子園グランプリへの道 明暗が分かれた2人

 

続いてはそーた。彼が応募したのは、「宅浪受験マニュアル」「ザク女子」「引け面」の3つだ。彼自身の体験をまとめた「宅浪受験マニュアル」をはじめ、変わった切り口で勝負したほかの2つも期待が持てる。どれか通っていればいいのだが……

 

そーた「ザク女子企画が一次試験通りました」

 

わー、やったね! しかし、そーたはなぜか浮かない顔だ。その理由は、最も情熱を注いで企画した「宅浪受験マニュアル」が落ち、アイデアで勝負した「ザク女子」が通ってしまったからだという。

 

そーた「結局、インパクト勝負なのかなぁと。めっちゃ頑張って書いた宅浪受験マニュアルがダメで、発想だけで書いたガンダムの方が通っちゃって、複雑ですね」

 

そんなもんなんだよ、そーた。大人の世界っていうのは、思い通りに行かないものなんだよ! そんな話をしながら、実行委員会からのフィードバックを見せてもらった。まずは「ザク女子」について。

 

「ザク女子」という表現は面白いが、企画書からはそーたがなぜこの企画を作成したかが見えてこない。二次審査ではそこを明確にすることと、モビルスーツの具体例をもっと数多く書きだしてほしい、とのことだった。

 

確かに的を射た指摘である。「なぜあなたが、今、この本を出す必要があるのか?」をもっと明確にし、サンプルも増やさないと、二次を通過することはないだろう。しかし、そもそもガンダムがそれほど好きでないそーたは渋い顔だ。「サンプルも、マニアならいっぱい出るんでしょうけど……二次審査に向けてもっとガンダムの勉強しないとな」とぼやいている。

 

ちなみに、彼の本命ともいえる「宅浪受験マニュアル」が落選したのは、類書が非常に多い分野にも関わらず、独自性に欠けていることが理由だった。大勢に埋もれた男・そーた。落ち込むな、人生はまだ長い。

 

 

とにかく、現時点で決勝進出の可能性があるのは、そーたの「ザク女子」だけである。何としても決勝まで進んでもらうしかない。だって、このままでは企画倒れになってしまうから! そこで、こんな提案をしてみた。

 

コエヌマ「3次審査に進めなかったら、罰ゲームね」

そーた「えっ!?」

コエヌマ「ここで負けたら、企画として成立しないでしょ。だから、罰ゲーム」

そーた「ええっ!? オレ、残ったのになんで??」

コエヌマ「罰があった方が面白いからに決まってるじゃん」

そーた「……」

 

顔が引きつるそーたに、様々な罰ゲームを提案した。その一例はというと、

 

  • よみうりランドでバンジージャンプ
  • 新宿ゴールデン街で小料理屋を営む、元ボクサーの店主にボディーブローを喰らう
  • 「鶯谷デッドボール」に潜入(どんなところかはググってください)
  • 女王様に縛られたり吊るされたりする

 

などなど。罰を受けたくないそーたと、罰を与えたいコエヌマによる激しい議論(?)の末、とうとう罰ゲームが決定した! それは、セクシー男優として活躍中のしみけんさんが、期間限定でオープンしたカレーショップ「志み津」で、ウ○コ味のカレーを食べるというもの。

 

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カレーショップ「志み津」公式サイトのスクリーンショット

 

そーたは諦めた表情で、「もう決勝とかどうとかより、ウ○コカレー食べたくないモチベーションで頑張りますよ……」とポツリ。その様子を見て、人ごとのように笑っているみもりんに、連帯責任が適用されることを伝えると、「ええっ!」と声を上げる。

 

そして彼女は、これまでに見せなかったセクシーな笑顔で、「ウ○コカレー食べたくないから、頑張ってね❤」とそーたを激励したのだった。

 

そんなこんなで、結果発表会は終了した。二次審査の結果が出るのは9月上旬とのこと。果たしてそーたの「ザク女子」は通過するのか!? う○こカレーを回避することはできるのか!? 次回に続く(文・コエヌマカズユキ)。
photo by dragonsfanatic

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