【第2回】月子を甲子園に連れてって 第11回出版甲子園グランプリへの道 締め切り間際、まさかの急展開

目次

 

ブラッシュアップされた3つの企画

 

そーたは前回、5つの企画を考えてきたが、最終的にそれを3つに絞り込んだとのこと。どのくらい内容が固まったのか、発表してもらった。

 

①一人ぼっちのための宅浪勉強法

そーた自身が浪人していたとき、予備校に通わずに一年間自宅で勉強して、有名私大に合格した。その経験をまとめた勉強法。スケジュールの立て方や、モチベーションを保つメンタル術、自己催眠をかけて限界値を伸ばす方法などを理論化し、実用的に仕上げている。実体験だけにリアリティもあり、類書が少ない点でも期待が持てる。

 

②ザク女子 モビルスーツで見る女子たち

前回、「女子たちの生態を幾つかに分けてカテゴライズし、とあるアニメに置き換えた企画」と書いたが、あるアニメとはガンダムのこと。女子たちをモビルスーツに合わせてジャンル分けした本だ。例えば目的もなく海外留学に行き、何となく「私、変わった」と満足しているような量産型の女子は「ザク女子」など。非常に面白く、居合わせた客からも「面白いね」との声が出た。

 

③急増中? イケ面ならぬ”引け面”の生態

イケメンでモテるのに、「面倒くさい」という理由で女子に関心を持たない男子が急増しているという。彼らのことを「引け面」と名付け、当事者たちに話を聞くほか、女性側からの意見も交えて、その生態を分析するという企画。前回、イケメン好きのみもりんが喰いついた企画だ。

 

 

そーたの企画は、どれも前回よりブラッシュアップされている印象だ。これは期待が持てるのでは! 続いてみもりんの発表。「じゃあ、みもりん」と振ったが、なぜかそわそわするばかり。「実は、全然進んでいないんです……」を消え入りそうな声で告白した。

 

おい、みもりん! 偽物のまんじゅうを作る時間はあったのに、肝心の企画は手を付けていないのか!

 

 

進まない企画会議

 

しかし、文句を言ってもしょうがない。「じゃあ、どのような企画にするか、今から一緒に考えよう」と持ち掛ける。「個人的には、『レオン革命』をビジネス・ノンフィクションで取り上げたら面白いと思うんだけど? ニッチな分野で面白いし、みもりんが書く必然性もあるし」と勧めるが、あまりピンとこない様子だ。

 

時間だけが流れていく。先に企画を発表し終わったそーたは、SM用の縄を見つけて遊び始める始末。

 

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そうこうしている間に、時刻は23時を回った。終電の時間もあるし、学生をあまり遅くまで拘束するわけにいかない。「宿題として、締め切りまでに企画をちゃんと固めること」とみもりんに伝えると、コクリと頷いた。

 

そして、6月28日までに各自応募することを約束して、花園神社へ。現時点でやるべきことはやった。できることと言えば、神頼みくらい。人事を尽くして天命を待つ、というやつだ。

 

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一次審査、通りますように!!!

そして、この日は解散となった。

 

 

締め切り当日に届いたみもりんからのメール

 

……そして、応募受付最終日の6月28日。昼過ぎにみもりんからメールがあった。

 

 

出版甲子園の内容なのですが、もう一度考え直して寮生活にしようかと思います。

 

何―!!!! 今になって変更だって! 戸惑ったが、続いて送られてきた文面に納得した。

 

 

そーたの話を聞いていて、自分が本当に伝えたいことは何なのだろうとずっと考えていました(中略)寮生活が楽しかったことを書きたいと思いました。なぜ楽しかったか。それは、私が高校時代、クラスになじめなくて、空っぽだったからです。(中略)消えてしまった自分の明るさを取り戻してくれたのが、寮生活でした。生活する中で、友人の大切さだとか、伝えることの大切さだとか、非常に濃い日々を送る中で、私はたくさんの自分が大切にして来たのに、なくしてしまったことを取り戻しました。

 

企画の本質は、「自分が心から伝えたいこと」が原点にあるべき、だと僕は思う。だったら、みもりんが一番情熱を持って取り組める企画こそ、応募するのにふさわしい。

 

「レオン革命」は面白い企画だと思ったが、本人がよりいいと思う企画があれば、そちらを優先すべきだ。あとは技術や切り口やアイデアを駆使して、「自分が伝えたいこと」と「世間が知りたいこと」をどう繋ぐか、が重要になってくる。

 

 

今から書くので、もし、何かアドバイスがありましたら、よろしくお願いします。ギリギリで本当に申し訳ありません。

 

最後にそう送られてきたが、僕はこの日、仕事で終日外出していたため、残念ながらアドバイスをする時間はなかった。なので、正直に「アドバイスはできないけど、頑張って」とだけ返信をしておいた。というのも、少しも心配はしていなかったからだ。

 

出版甲子園の審査基準は、分からない。しかし、例え未熟な企画であっても、そこに「磨けば光る要素」があれば、拾い上げてくれるかもしれない。みもりんが本当に情熱を込めた企画であれば、一次予選を通過する可能性はあるはずだ。

 

 

ありがとうございます! がんばります

 

最後にみもりんからそんな返事があった。6月28日の夜は、いつもと同じように、静かに更けていった(取材・文 コエヌマカズユキ)。

 

 

第二回目の企画会議を終えて

 

<そーた>

締め切り前日、慌てて応募用紙への執筆にとりかかった。当初は三本のネタを投稿しようとおもっていたのだが、考えているうちに一本は「こんなん、全然おもしろくない!」と自ら断念。残り二つの構想に取り掛かった。

 

自分の自宅浪人の経験を生かした一個目の案は、文章にも熱がこもり、当時のことを思いだして、書いている時間もあっという間に過ぎ去った。次に、二本目の案は、今年六本木で展示会が行われるなど再び盛り上がりを見せているガンダムに関するものだった。だが、特にガンダム愛があるわけでもなく、一本目に力を入れすぎてしまった僕は、空白の部分もそこそこに、「えいやっ!」と適当に書いて提出してしまった。

 

自分的には一本目の方が自信があるが、果たして結果はどうだろうか。結果発表が待ち遠しい。

 

<みもりん>

「この本、つまらない!」などと大口を叩いてしまったものの、どうしたらレオン自動機という会社の面白い部分が伝わるのか、よくわからなくなってしまった。そうして気がついたら、今度はそーたに何を仕掛けようか、という現実逃避に走り……

 

思いつかないということは、これは自分で〝書きたい〟ものではないということだろうか……そしたら、自分で〝書きたい〟と思えるものはなんだろう?そう考えていて、思いついたのが、大学1~3年生まで暮らした女子寮での日々。締め切り間際に急きょ方向転換してしまい、コエヌマさんをぎょっとさせてしまったようですが、この内容の方が、わくわくと構想を膨らませることができた。

 

今の自分の精一杯が、どんな結果を生み出せるか、とにかく待つしかない。

 

※次回はコチラ

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