Twitterユーザーが選ぶ2014年で最も面白い一冊が『金を払うから素手で殴らせてくれないか』『愉楽』に決定

 

Twitter文学賞は2009年、書評家の豊崎由美氏の発案によってスタートした。豊崎氏がトークイベントの参考にするため、今年読んで面白かった海外文学を Twitterで募ったところ、「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ベストミステリー」よりも刺激的な結果が出たという。

 

その理由について、自身のフォロワーが「そこそこ本を読む人」でなく、「すごく本が好き」な方が多いからではないか、という仮説を立て、その層を中心に投票を募れば、ほかの賞やランキングと違う結果が出るのでは、とTwitter文学賞の設立に至った。

 

元々、投票によるランキングについては懐疑的だったという豊崎氏。顕著な例として本屋大賞を挙げ、「そこそこ本を読んでいる人たちによる人気投票は、とんでもなくだめな作品はランクインできないという見識の高さを示すと同時に、しかし、先鋭的な作品もはじいてしまうという無難なつまらなさを露呈してしまう」とTwitter文学賞の公式サイトでコメントしている。

 

「Twitter文学賞」で投票できるのは一作品のみ。多くの本を読む読書家にとっては、一冊に絞り込むのは頭を悩ませるところだろう。しかし、ここに豊崎氏のこだわりが込められており、「その苦しい選択を乗り越えて挙げるたったひとつのタイトルの価値は重い。わたしは、その重さこそが何よりも大事と考える」と綴っている。

 

結果発表は毎年、公開イベントとして行われており、Ustream中継もされている。第5回も豊崎氏のほか大森望氏(書評家・翻訳家))、佐々木敦氏(批評家)、杉江松恋氏(ライター)、石井千湖氏(ライター)といった恒例メンバーによって発表会が行われた。

 

SNSの普及によって、人々が気軽に繋がることが可能になった現代。作家や評論家だけでなく、本を愛する多くの人を巻き込んで盛り上がりを見せている新時代の文学賞は、今後も注目を集めそうだ。

 

<Twitter文学賞事務局 公式サイト>

http://tbookaward.blogspot.jp/

 

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