『総理の夫』を女性目線で読んだら、女性が活躍しづらい日本の現状が見えてきた

目次

 

女性たちのリアルな声から見える現実

 

その理由は何なのか知るべく、女性たちから自己実現のさまたげになった経験談を募ったところ、たくさんの声が寄せられました。その中でも特に気になったのが、この二つ。

 

 

和裁の仕事に就きたく勉強していたが、師弟関係の強い業界で、修行中の身で産休はとれない現実を知って、出産、育児に専念することにした。産後はこどもに障害かあることがわかり、「子育てが落着く」のがいつになるかまだ見えない。仕事復帰が難しいと感じている。(40代・女性)

 

 

30代半ばまでフルタイムで働いていたが、病気(難病)を発症し退職。その後も仕事と家事を両立出来る体力は戻らず、フルタイムでの復職は不可能で泣く泣く退職しましたという感じです。夫も激務で家事分担は難しいのですが、やはり「家事は女性の仕事」といった空気の色濃さが、このような結果になったひとつだと思われます。(50代・女性)

 

『総理の夫』でも優秀な女性スタッフ、富士宮あやかが妊娠を機に、退職届を提出するシーンがあります。物語のなかだけではなく、妊娠や出産を機に4割強の女性が仕事から離れ、子育てや家事に専念しているのが現状なのです。その主な原因のひとつは、男性の育児休暇取得率が低いことではないでしょうか。

 

2020年の育児休暇取得率は、男性12.65%、女性が81.6%とまだまだ男性の割合が極端に低いのです。その主な理由として、会社で育児休業制度が設備されていない、あるいは取得しづらい雰囲気であることが挙げられました。世界的に見ても充実している日本の育児制度。しかし、育児休暇を男性が取ることはいまだに理解されにくいのだと思われます。

 

1 2 3
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次