「その企画を本にする必要があるのか」ヒットメーカーの編集者2人がトンデモ企画を一刀両断?

文芸作品はマーケティングができない

 

 

――売れる見込みがないと出版は難しく、その点、WEBで話題になっている作品は売れる確率が高いから、出版に至りやすいと。

 

小谷:そうですね。あと、ジャンル的にも売れる見込みが立てづらい企画なので、やはりWEBで様子を見た方がいいと思います。

 

本は、文芸作品とそれ以外にざっくりと分けられます。後者はいわゆる自己啓発書や実用書。これらは読者の悩みをテーマにしているので、マーケティングができるんですよ。例えば、「二日酔いを予防する飲み方を医者に聞いてみた」という企画など、お酒に困っている人は一定層いるのでニーズもそれなりにあると予測できます。

 

しかし小説をはじめとした文芸作品は、読者がこんな物語を読みたいといったニーズを探ることは難しい。マーケティングができず、売れる確証が得難いのです。また、時代的にも文芸作品はヒットしにくい。

 

そのため一般的には、公募で賞をとった作品や売れっ子作家の作品など、読者が見込める作品が本になります。この企画はどちらかというと、文芸作品に属しますよね。本で出すなら賞を受賞するとか、WEB上でバズらせるとかしないと難しいかなと。

 

 

――確かに、文芸作品は読んで初めて「こんな作品が読みたかった」と思いますからね。ニーズの特定は難しい。

 

伊藤:あと、やってみなきゃわからない実験的な企画でもありますよね。2人に入れ替わり生活をさせて、結局恋が芽生えないという結末もありえる。

 

その場合、映画と同じようなハッピーエンドを望む読者はがっかりするかもしれない。芽生えなかったら芽生えなかったで面白いのかもしれませんが、それもやはり読者に見せなければ分かりません。

 

結末がわからない、不確定要素が多い企画なので、なおさらWEB上で反応を見た方がいいと思います。そこで面白いと話題になれば出版することは可能だと思います。ただやっぱり、文字媒体よりも、映像で見てみたい作品ではありますかね(笑)。

 

小谷:確かに、まずはTV局に企画をもっていくという選択はありだと思います(笑)。

 

 

――では、本を出したい人が企画をつくる際、どんなことを意識するべきなのでしょう?

 

小谷:自分がその本を書ける理由(書く資格)と、読者の得られるもの(メリット)を明確にします。最終的には「書きたいこと」「書けること」「読者の求めること」の三要素が重なる部分を見つけるのが大事です。読者の求めることは、編集者が詳しいので、著者は残りの二要素を明確にすることに全力をそそぐべきですね。

 

伊藤:「著者が読んでもらいたい内容」ではなくて、「読者が読みたいと思う企画かどうか」です。ここは本当に大きな違いで、大概の企画は、著者が伝えたいことが全面に出てしまっていて、読者が置いてけぼりになってしまっています。

 

 

――企画をつくって、編集者に見てもらいたいと思ったらどうすればいいのでしょう。 出版社に郵送したり、電話したりしてもいいものなのでしょうか。

 

小谷:電話は原則NGです。編集者は、自分の時間が強引に奪われることを何より嫌いますから。郵送は可ですが、スルーされるリスクが高いでしょう。よって、本の奥付で担当編集を確認して、その編集者宛に企画書を送ったり、ツイッターで編集者をフォローし、丁重なメッセージを送るのが良いですね。

 

伊藤:直接郵送するなら、送り先の出版社がどんな得意分野をもった出版社なのか、きちんとリサーチして送る方がいいかなと思います。例えば絵本の企画なのに、ビジネス書を出している出版社に持ち込むようなことは止めておいた方がいいかと。

 

また大手出版社に送っても、おそらく見てもらえないので、それも止めた方がいい。それよりは、編集者と直接会えるようなイベントや出版記念パーティに行ってみるとか、編集者と会うということに力を使った方が早いと思います。

 

 

――とても参考になりました。本日はありがとうございました!

 

 

伊藤さん・小谷さんからお知らせです!

 

伊藤さんが講師として参加する講座です!

【ベストセラー作家から執筆指導が受けられる!「3か月で本を出版する」実践的出版講座 執筆出版アカデミー】

■日時
2018年10月14日(日)10:00~17:00
2018年11月 4日(日)10:00~17:00
2018年12月16日(日)10:00~17:00
※2019年1月に出版記念イベントを予定

 

■会場
スターティアラボ株式会社 19Fセミナールーム 東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19F
《主催》スターティアラボ株式会社 ごきげんビジネス出版

※詳細は以下のリンクからご覧ください。

https://peatix.com/event/432075/view

 

 

続いて小谷さんが手がけた本を紹介します!

 

発売1ヶ月で2万部突破!
『結局、人生はアウトプットで決まる』

 

初の数学的自己啓発小説!
『論理ガール』 

 

ひふみん初の子ども詰め将棋本!
『ひふみんのワクワク子ども詰め将棋』

 

取材後記

物書きでなくても、「生きているうちに自分で書いた本を出版したい」と願う人は少なくないはずだ。自分の経験や想像が形になった本は、スマートフォンで最新のニュースから動画まで見れる現代においても、色あせない魅力を放っている。

 

ただ、本に最も適したコンテンツとは何なのか。SNSやVRを通じた次世代型メディアが増えつづける時代に、本を出版する夢を持つ人は考え続けなければいけない。(取材・文 田中一成)