又吉直樹、碧雲荘について「みんなが太宰治の小説を読むきっかけになれば」

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満員の会場を前に、又吉さんは太宰にまつわる様々なエピソードを披露した。

 

太宰治が昭和11年~12年にかけて暮らしたアパート・碧雲荘(東京・杉並区荻窪)の保存を目的とした「太宰サミット第二回 太宰に会う、又吉に会う」が15日、杉並公会堂で開催された。ゲストとして登壇したお笑い芸人で作家の又吉直樹さんは、「碧雲荘が残って皆が色々な文化と関わり、太宰の小説を読むきっかけになれば最高だが、同時にいろんな問題もあって難しい。実際の世界はシンプルじゃない」と神妙な面持ちで語った。

 

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太宰は最初の妻となる初代と、碧雲荘の2階にある8畳間に滞在。不朽の名作『人間失格』の原型となる『HUMAN LOST』を書き上げたほか、『富嶽百景』では2階の窓から見た富士山の景色について綴るなど、太宰文学を生み出す上で貴重な時期を過ごした場所となっている。

 

しかし高齢者施設の建設を目的として、杉並区によって取り壊されることが決まったため、「荻窪の歴史文化を育てる会」が保存運動を開始。今年7月には3780名分の反対署名が市長に手渡されるなど、熱心な活動が続けられている。その状況を受けて、又吉さんがしたのが冒頭の発言だ。

 

さて又吉さんといえば、太宰の大ファンだと公言したり、太宰について語りつくす「太宰ナイト」を開催したりと、その“太宰愛”は誰もが知るところ。太宰の作家としての偉大さについて、「小説が面白いのはもちろん、すごく読者が多い。それって大切なことやなと思う」と言及する。

 

さらに、一番好きな作家を聞かれると必ず太宰の名を挙げる理由について、「現役の作家で誰が好きとか言うと、『又吉なんかが好きって言うなら、その作家は面白くないんじゃないか』ってなる可能性があるんですけど、太宰の場合はびくともしない。ファンもアンチもすべて引き受けるでかさがある」と説明した。

 

杉並区といえば太宰治だけでなく、井伏鱒二、中原中也、石川達三、川端康成、北原白秋など、錚々たる文豪たちとゆかりのある場所でもある。この日のトークの中で、「杉並文学館の設立」の構想が話題に出ると、「そうなったら最高ですね」と又吉さんは目を細めていた(取材・文 コエヌマカズユキ)。

 

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又吉さんと作家・松本侑子さんによる対談