小説編
『パンドラの匣(新潮社)』著:太宰治
- マット。さらさら
- さらさらしているが若干ざらつきがあり重厚感がある
- さらさら。つるり
- 温かいクリーム色
- 何倍にも薄めた図書館の匂い
コメント:「頭の中に『小説』を思い浮かべてください」と言われたら多くの人が思い浮かべる小説の紙。匂いが図書館の縮小版なのも納得がいきます。
『堕落論(KADOKAWA)』著:坂口安吾
- つるつる。きゅっと音は鳴らない
- さらさらの中にざらつきがある
- 軽くなでるとさらさら。じっくりなぞると少しざらつきがある
- 冷たい白色
- 何倍にも薄めた紙のゴミ袋
コメント:『パンドラの匣』と比べてかなり冷たい紙質。特に中の紙の色は大きく違うことが分かります。実は、この作品は未読なのですが、読む前から少し緊張に似たどきどきを感じています……。
『夫婦善哉(講談社)』著:織田作之助
- マット。ひんやりしている
- ゴザの上に座った後に跡が付いた皮膚くらいざらざら
- よりさらさら。つるり
- くすんだ白色
- 何倍にも薄めた図書館の匂い
コメント:クーラーの利いた図書館で夏休みの宿題をし、家に帰って茣蓙の上でいつの間にか眠ってしまう……。そんな小学生の夏休みが脳裏に浮かぶ本。タイトルからは想像もつかないけど。
『小説太宰治(小学館)』著:檀一雄
- コーティングされているよう。すべりにくくつるつる
- なし
- 少し厚い紙で、凹凸がありざらざら
- くすんだ冷たい白色
- 折り紙の台紙のように少し酸っぱい
コメント:少し変わった表紙の本。なんとカバーがないんです。決して豪華ではないのに、紙質から特別な雰囲気が漂っています。まあ、私の太宰治がそうさせているだけかもしれないけど。
『新本格魔法少女りすか(講談社)』著:西尾維新
- つるつる。きゅっと音は鳴らない
- ざらざら。すごく細かい突起を並べているよう
- ひっかかりのあるさらさら
- 暗くくすんだ冷たい白色。
- 薬
コメント:病気とは全く無関係な物語ですが、病院を思わせるような薬っぽい匂いが中の紙から漂っています。結構大量出血する物語なのでつり合いは取れているのかも……。
おまけ
『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら(宝島社)』著:神田桂一・菊池良
- さらさら。少しつるつる
- さらっとしているが凹凸も感じる。薄い段ボールのよう
- 少し粉っぽく、ざらついている
- 暖かい白色
- 少しチョコレートっぽい
コメント:中の紙は、タイトルの焼きそばと「茶色」という共通点があるチョコレートのような匂い。要するにおなかが空いているときに読んだらだめだ~!
最後に
ここまで読んでくださった方は、恐らくこう思われているんじゃあないでしょうか。
本によってこんなに紙に差があるの??
本はいわば紙の集合体。紙質によって本の印象は大きく変わってきます。そして、どの本も人間と同じように個性があってびっくり。さらに、(おそらくは)内容とリンクするような紙が使われている本もあってこれまたびっくり! 本を手に取った瞬間から物語は始まっているんですね……。
今回は“紙の違い”に着目して本を紹介してきました。紙の本が大好きなあなたも、電子書籍派のあなたも、もっともっと読書を楽しめる手助けになれれば幸いです♡あなたのお手持ちの本はどんな感じ?(文・握りしめたマンゴー)