オンライン読書会に初心者が涙目で飛び込んだら見える景色が変わった話

ゼロの状態で読むからこそ見えること

 

彗星読書倶楽部を主催する森大那さん。

 

――読書会を始めたきっかけを教えてください!

 

大学で所属していたのが小説家の堀江敏幸さんのゼミで、学生が書いた文章や堀江さんが指定した本を読んできて皆で語り合う、というのをずっと繰り返してきました。それが大学時代で一番楽しい時間だったなと思っていて。ゼミ生もみんな同じ思いを抱いていたので、長い休みがあると一日かけて読書会をやろうよ、って集まったり。

 

こんなに楽しい場所を自分たちで一回作っているから、また作れる、と思ったのが彗星読書倶楽部を始めた最初のきっかけです。

 

 

――彗星読書倶楽部さんの特徴として「事前知識が必要ない」というのが参加の決め手になりました。

 

本の中でも事前知識が必要な本と、なくても読める本の2つに分けられる、というのが私の本の捉え方なんですよね。

 

事前知識が必要ない本を使えば、共通項をプライベートで持たない人たちが集まっても絶対に会話が成立する、と思って。それをどう成立させて、どうその場でクオリティを上げていくかは司会の能力にかかっている。それに関しては自信があったので知識はいらないですよ、とアピールしましたね。

 

 

――実際に知識がほとんどない私でも充分楽しめました!

 

文学作品ていうのは、先入観を持たないとか、これが定説なんだとか知らないほうが、一つのすごく良い体験になって残ることが多いんですよ。

 

ビックネームの作品だとWikipediaやAmazonのレビューで、「この作品はこういうものだ」という定説がもっともらしく書かれている場合があるんですけど、やっぱりちょっとそれは違うよね、とか、自分が注目したのは別のポイントなんだよな、ていう考えが、頭をまっさらにして読むと、くっきり見えるんですね。そういう体験をしてほしいという思いが非常に強いです。

 

 

――主催者の方によって、読書会の方向性はかなり違ってきますよね。

 

結構違うと思います。主催者それぞれの個性、特に話し方が一番大きな違いだと思います。個人的に嬉しいのが、女性のリピーターさんが多いことですね。安心できる場所、森が主催しているなら安全、そう感じていただけているのは光栄なことだなと思っています。

 

 

オンラインとリアルの違い

 

――オンラインを始めてから私のように未経験の参加者は多いですか?

 

そうですね。オンラインで未経験の参加者が増えたという話は界隈でもよく聞きますね。これを機に読書会を自分で開いてみた、という方もちらほらいらっしゃいます。実際に人を集めるとなると場所を確保するというのが手間なんですが、オンラインなら、主催をするハードルも同時に低くなったのも事実かなと。

 

 

――緊張しすぎて一瞬聞くだけの参加にするか迷いました。

 

オンラインでも会場でも実際にそういう方はいますよ。この作品が好きで、自分は話すことはないけどみなさんの意見を聞きたいとか、カメラを付けずチャット機能だけでいいですか、とか。

 

 

――私はオンラインだから参加できた、というのはありますね……この時期にオンラインを始めたのは、やはりウイルスの影響がきっかけとしてはあるのでしょうか。

 

その通りですね。ただ、申し込んでくれた人、それも初めて会う人同士が、全員集まって同じ空間で話せるというのはとても重要なことで、なるべくなら欠かしたくないんです。

 

読書会に限らず、オンラインで何かを済ませる一番の欠点、楽しくない部分は、空間性が自分の住んでる部屋だけになってしまうこと。なのでウイルスが蔓延するまでは全くオンラインをやることは考えていなかったです。

 

 

――なるほど。確かに実際に対生身の人間とひとつの空間に集まることでしか生まれないことってありますよね。

 

情報のやり取りだけが読書会の良いところではなくて、自分ができなかったことが残るのも会場でやるメリットだったりするんですよ。あのとき発言を譲ってしまったから話せなかった、話したかったけど忘れてしまった、という経験って記憶に残るじゃないですか。そういう体験をしてもらうこともすごく重要で、それを含めひとつのイベントにしたくて。

 

ただ、これから集まれるようになってからもオンラインは定期的に続けていきたいとは思っています。みどりさんのように初めて来た方や、なるべく素性を出さずにやりたい方も安心して参加できる場所でありたいという思いが、オンラインを始めてからは非常に強くなっています。

 

 

――読書会にまたぜひ参加したいと思いました!

 

そう思ってもらえたなら何よりです。こういう場所、こういう体験を求めている人はまだまだいるだろうと確信しています。なので、みどりさんが体験したあの感覚を、もっともっと多くの人に経験して欲しいと思っています。

 

 

あなたも気になる読書会を見つけたら、ぜひ思い切って参加してみてほしい。足を踏み出すと、止まっていた風景がゆらゆらと動き出し形を変えて広がっていく。(取材・文 みどり)

 

「彗星読書倶楽部」さんのWEBサイト

https://suiseibookclub.com/