【前編】個性派本屋「双子のライオン堂」の1日スタッフを体験して気付いた、これからの書店のあり方

 

【16:00】本を読むのも仕事

 

 

開店準備を終えた後は店番である。最初のお客さんは20代前後の男性。「いらっしゃいませ」と明るくあいさつだ。

 

読書会を終えて一緒に店番をしてくれていた竹田さんは、お客さんに「ゆっくり見てくださいね。荷物は空いているところに置いてもらって大丈夫ですよ」と笑顔で声をかける。うーん、細かいところにも気遣いを怠らない。これぞおもてなし。

 

お客さんは、なんと3冊もの本を購入してくださった。これも、本好きにはたまらない選書のおかげなのかも。お会計時はポイントカードをおすすめするのも忘れずに。500円で1ポイントなので、某大型書店のポイントカードよりだいぶお得だ。

 

ちなみにこちらのお客さん、ほかにも探している本があった模様。「~の本はありますか?」との質問に、即座に「売れちゃったんですよ、ごめんなさい」と回答する竹田さん。このお店の、どこに何があるかを全部把握しているんだ、と感嘆した。

 

そうこうしているうちに、お客さんが途絶えた。さて、何をしようか……

 

竹田さん「お客さんがいない間は、本を読んでいいですよ」

筆者「えっ、いいんですか?」

竹田さん「店内にある本を知ることも本屋の仕事ですから」

 

確かに、先ほどの竹田さんのように、書店員はコンシェルジュのような役割も果たさなければならない。一人ひとりに適切な本が行き渡るためには、どんな本が並んでいるかや、本の中身を知ることも欠かせないのだろう。

 

 

しかし、のんびり読書をしていたのもつかの間、お店は16時半頃大入りになった。なかには、小さなお子さん連れの家族までいる。気付いたのは、多くのお客様が、本を買いに来るのと同時に、竹田さんと話しに来ていることだ。

 

常連A「こないだ勧めてもらった本だけどね」

竹田さん「ああ、カフカの『変身・断食芸人』ですよね。どうでしたか?」

常連B「ねえねえ、次の読書会、フォントに特化したテーマでやらない?」

竹田さん「いいですね。フォントに詳しいデザイナーの方がいるので、協力してくれると思います」

常連C「初めて来たんですけど、めちゃくちゃおもしろい選書ですね」

竹田さん「ありがとうございます。僕がお客さん代表として、楽しめるお店づくりを心掛けているんです」

 

竹田さんは常連をはじめとしたお客さんの接客に追われている。竹田さんの温厚かつ人間臭い人柄が、このお店に人を集めているのだろうと思った。そして双子のライオン堂書店では、本を販売することもそうだが、お客さんとのコミュニケーションこそが重要な仕事なのだ。

 

私は竹田さんみたいに、この店について語れない。せっかく来てくれたお客さんに対し、何もできない自分が歯がゆい。なにか、お店の役に立ちたい。何かできないか……そうだ、お遣いに行こう!