本好きにとって天国?地獄?図書館司書として働くことのリアル

 

司書も能力はピンからキリまで」大学図書館勤務 上本 宏樹(仮名)さん

 

ーー司書としてのキャリアを教えてください。

 

最初に入職したのが、国立国会図書館が業務委託している会社です。国会図書館の書庫から、利用者の請求に応じて本や資料を出してくるのがメインの仕事で、3年間働いていました。その後、大学図書館で働き始めます。小規模な大学での業務委託のアルバイトから始めて、次に国立大学で派遣社員として。続いて別の私立大学に行き、今の大学図書館で働いています。

 

 

ーーかなり多くの図書館を移ってきたのですね。

 

司書として働くことには、非正規雇用の契約問題があります。今までも契約を更新してもらえなかったことがあり、大学図書館を転々とせざるを得なかったのです。今の大学図書館も、契約期間が上限5年と決まっているので、早く正規職員になって安定したいとは思います。

 

 

ーー私もまさに同じように考えていました。ほかに司書として大変だと感じていることはありますか?

 

上司が総合職的な感じで、図書館に関して専門的な理解や知識がそれほどあるわけじゃない。評価システムもないため、能力が高い職員もそうでない職員も、一緒くたに同じ待遇にされている感じがするので、そこに不満を感じることがありますね。

 

 

ーー図書館司書の社会的地位を上げていくためどんなことが必要だと思いますか?

 

教員免許更新制のように司書資格も更新制にして、そのときの状況に応じた知識のある人だけを残し、ない人には新しく知識を得てもらう、そういう仕組みが必要なのだと思います。また、評価システムもつくるべきだと思います。 

 

 

ーー図書館で働きたい人に向けてメッセージをお願いします。

 

司書は一般的な職業に比べて、正規雇用で働くことが難しい職業です。「もし何歳までに正規雇用に就けなければ、見切りをつけて他の道を探すのか、期限を設けた方が良い」という意見もほかの司書から聞きました。

 

また、「図書館での仕事に自分は何を求めるのか?」、「図書館で働くことを通じて社会にどのように貢献したいのか?」、そういった考えが明確でないと図書館の世界で生き残っていくのは難しいと考えています。

 

「社会人としての基礎能力を上げておくべき」学校図書館勤務 関口 久美子(仮名)さん

 

ーー司書としてのキャリアを教えてください。

 

キャリアのスタートは公共図書館の嘱託司書でした。常勤職員のようにフルタイムで働き、仕事内容も同じですが、給料は安かったです。そこで4年間働いたのち、一年弱大学図書館で働いていました。その後は専門図書館で働き始めたのですが、クローズするという話になって。次に大学図書館、その後に産休代替として公共図書館で。2年の雇用期間が終了して、次にまた公共図書館で1年半働きました。

 

その後も幾つかの公共図書館や専門図書館で働いて、今は学校図書館で働いています。現在、勤務している学校図書館こそ正規雇用ですが、それまでずっと非正規雇用でした。

 

 

ーーやはり非正規問題で苦労されたのですね。では、図書館司書として大変だと感じていることは?

 

あまりないですが、しいて挙げるならば、対人の折衝の部分ですね。目的達成のためには、館内の誰に、どのように言えばいいか、策略を巡らすのが一番大変です。その点は一般企業と変わらないかと思います。

 

 

ーー司書の社会的地位を上げていくために、何が必要だと思いますか?

 

今の図書館員の人は、仕事の目的と役割、手段をごっちゃにしている人が多くて、目的とか役割のために手段があるのに、どういう手段にするかばかりを考えるから、おかしいことになっていると思います。

 

例えば図書館で行うイベントですね。絵本の読み聞かせやおはなし会も「子どもが成長しても本を読んでくれるように」という目的が本来あるのに、自覚せずに行っていたりします。そういったことを正していけば、司書の価値や、ひいては待遇も上がると思います。

 

 

ーー図書館で働きたい人に向けてメッセージをお願いします。

 

さまざまな場所に出て行って、インプットもアウトプットもしておいた方が良いと思います。先ほど話したように、図書館も一般企業と似た部分が多いので、そうして社会人としての基礎能力を上げておくべきです。

 

あとは、図書館員として食べていきたいなら、自分の中に芯を作ることですね。なぜ司書をしたいか、成し遂げたいことは何か、など明確にしておく。そうすると仮に職場を転々としてもぶれなくなると思います。