フリーペーパーは本や雑誌の下じゃない! フリーペーパーに感じる可能性とは
今回インタビューをさせていただいたのは、只本屋スタッフの岩城玲さんと斉藤菜々子さんです。
—スタッフ全員がフリーペーパー制作者ということですが、只本屋をやられたことでフリーペーパーに対する考えなど変わりましたか?
岩城:フリーペーパーを読むのは前から好きだったけれど、自分たちがお手本にしたいと思える種類のものには、正直あまり出会えていませんでした。
なので「フリーペーパーをお手本にフリーペーパーを作る」というより、「本や雑誌を見てフリーペーパーを作る」という感じでした。そんな工程だったから、本や雑誌の方がフリーペーパーより上、って感覚がいつもあって。
でも只本屋を通じて、フリーペーパーを一つの作品のように作られている方に出会えたことで変わりました。自分の中でのフリーペーパーの価値が上がったんです。本や雑誌よりも面白いって今では思っています。
斉藤:自分の作ったものを見てくださった人の反応がリアルに聞けなかったので、他者に影響を与えているという実感がわきませんでした。でも、この取り組みを始めてから、フリーペーパーは値段の壁がない分、自分が興味のある領域じゃなくても手に取ってくれる人がいるってことに気づきました。それからは、誰かに少しでも影響や興味を与えられる可能性をフリーペーパーから感じています。
ー実は月に吠える通信WEBでもフリーペーパーを作っているのですが、只本屋さんで置いてもらえますか?
斉藤:もちろんですよ!
岩城:私たち、基本フリーペーパー設置をする際には審査とかはしないんです。でもチラシみたいなのは無理で。ページ数がたった1枚のフリーペーパーでも紙にこだわっていたり、写真にこだわっていたりしたら、設置させていただいています。
フリーペーパーを通してコミュニケーションの生まれる場へ。
ー今後の只本屋の夢を教えてください!
斉藤:関西のフリーペーパー文化を盛り上げたいという目標があったんですけど、それは達成しつつあります。次の目標のひとつとして、只本屋がサロン的な役割になればと考えています。今は選んで持ち帰るという形ですが、選んだその場で読めるという空間を作りたいんです。
フリーペーパーって持って帰ったら読まずに置いちゃうっていう人が多いのですが、読むからこそ価値があるので。サロンを開くことで、お客さんと制作者をつないだり、制作者に触発されてお客さんが制作者になっちゃったり、なんていうきっかけや、フリーペーパーを通じたコミュニケーションが生まれる場にしていきたいなって思います。
岩城:そんな只本屋にするべく私たちはいま、クラウドファンディングに挑戦しています。
お金を集めていますが、それと同時に、畳もほしいです(笑)。いま、店内の畳が汚いので土足オッケーにしちゃってるんです。せっかく敷居があるのに土足っていうのはもったいないので、畳を張り替えて土足を禁止にしたいです。なので寄付金だけじゃなく、畳も募集しています(笑)
斉藤:クラウドファンディングの方ではお金を募集していますが、さっきも言ったようにコミュニケーションの場を作りたいので、私たちスタッフだけで作りたくはないんです。支援の形を変えても良いです。例えば実際に只本屋に来ていただいてお店の改装を一緒にやるとか。
岩城:ただこっちが提供する場所ではないですしね。フリーペーパーを作っている人の恩恵を受けている場所だから余計に。お客さんとか関係なく、みんなで作っていく場にしていきたいです。
斉藤:なので、
岩城&斉藤:ご協力、ご支援を宜しくお願いします!!
クラウドファンディングのページはこちら
あなたの心をときめかすお宝の一冊を探しに
誰かの「伝えたい」という思いがぎゅっと詰め込められたフリーペーパーを沢山取り揃えている只本屋に行くと、自分の心がときめいているのを感じます。またフリーペーパー制作者の「伝えたい」と、それを手に取った人の「知りたい」あるいは「読みたい」がマッチした時、お金では測ることのできないお宝の一冊になるのだと思います。
フリーペーパーという一種の文学を堪能しに、只本屋に遊びに行きませんか?(取材・文 サカモトアヤコ)
店舗情報
只本屋
住所:京都府京都市東山区慈法院庵町594-1
営業日:毎月末の土日
WEBサイト:http://tadahon-ya.com/