ポアロ、ホームズ、金田一耕助……推理小説のような名探偵は本当にいるのか?現役の探偵に聞いてみた。

 

完全にアウトなヤバい依頼

 

―むむむ……探偵の仕事はかなりすごいぞ。意中の人と付き合えるなんて夢みたいじゃないか。ちなみに、ヤバイと思った依頼はありますか?

 

ありますよ。「別れた恋人を探して欲しい」と依頼を受けたのですが、依頼者の言動や所作がおかしいのです。不審に思ってカバンを見せてもらうと、拳銃が入っていたことがありました。元恋人を見つけたら、拳銃で殺して自分も自殺しようとしていたようです

 

―そんなことがあったのですね……

 

もっと驚いたこともありました。私が探偵事務所を立ち上げたばかりで、まだ依頼が少なく、便利屋のような仕事も受けていた頃です。かなり高額な金額で、とある荷物を箱根の山奥まで運んで欲しいと頼まれました。

 

初めはトラックで運び、途中からレンタカーに移したのですが、荷物を持ったときに、形と重さから完全に◯◯◯だと気づいたんですよね。中身を確かめていないので確証はありませんが、今思い返しても怖いですね。

 

―きゃーーーー!!!!!!!!!!!

 

行方不明者探しも多いですね。日本では年間約9万人の程行方不明者がおり、95%以上はすぐに見つかっていますが、約1700人は何らかの事情で未だに見つかっていません。失踪人以外にも、世間に明るみになっていない犯罪に巻き込まれている方は確実にいるでしょう。

  

探偵に向いているのはこんな人

 

ーわ、話題を変えましょう! 探偵と言えば尾行が思い浮かびますが、コツはありますか?

 

一番気を付けることは、ターゲットに視認されることです。人間の記憶力はかなり優れているので、少しでも特徴があると記憶するんですよ。服装に特徴が出ないように、田舎だと作業着、新宿ならくたびれたスーツを着て溶け込むようにしていますね。

 

さらに、バッグや指輪などにも特徴が出ないように気を付けます。基本、尾行は2人一組で、ターゲットと30mくらい距離を開けて行います

 

―見失ってしまうことはないのですか?

 

ありますよ。電車やタクシーに乗られると、さすがに見失ってしまいますね。ですが、大体行く場所は見当がついているので、別の班に先回りさせています。さらに、強力磁石で車に取り付けるGPSなど、探偵の使う道具も近年進化しているので、そういうものを使っていますね

 

―何だか探偵という仕事に興味が出てきたぞ! 探偵に向いているのは、どんな性格の人ですか?

 

知的好奇心がある人です。何かを見たときに「?」と思える思慮を、縦に深く、横にも広く持っていなければいけません。逆に飽きっぽい、面倒くさがり、考えることが苦手な方は探偵に向いていませんね。

 

―なるほど! 面白そうだけど、これまでの話を聞いていると、道は険しそうだ……ちなみに歴代の名探偵の中で、嵯峨さんがNo,1だと思うのは誰ですか?

 

ふざけた答えかもしれませんが、アニメ「デスノート」のL(エル)ですね(笑)。もし私がLの立場だったら夜神月(ライト)を倒せるか、真剣に客観的にシミュレーションしてみたのですが、やはり倒せませんでした。

 

あらゆる可能性を考えて、消去法で存在するはずのない死神の存在に辿り着いた。自分の推理を信じて行動できる非凡な人間。いいですね。

 

 

今回、嵯峨さんにはたくさんの話を聞かせてもらった。ここに書いているのは、まだまだ話せる範囲のこと。ヤバ過ぎて書けない内容の方が多かったくらいだ。皆さんも解決したい問題があれば、探偵に相談してみてはどうだろう。意中の人と付き合いたい、と「復縁」を依頼するのもいいかもしれない。

 

田山花袋の実体験を基にした小説「布団」は、愛する弟子・横山芳子に去られ、師匠の竹中時雄がその布団の匂いを嗅ぎまくるという、何とも切ないラストシーンが印象的な作品だ。嵯峨さんのような探偵がもしこの時代にいたら、「布団」は違った結末を迎えていたかもしれないのである。(取材・文 中澤雄介)