【前編】最強の珍書が決定!ハマザキカク氏ら出場の珍書ビブリオバトル

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珍書プロデューサーのハマザキカクさん

 

 

本人は至って真剣なのに、ベクトルが少々ずれているため、はたから見ると滑稽に映ってしまう。そんな人物や場面に遭遇し、思わず笑いを堪えた経験はないだろうか?

 

出版界において、それに該当するのが“珍書”と呼ばれる本だ。2月7日、珍書に限定したビブリオバトルが、阿佐ヶ谷ロフトAで行われた。 ご存知の方も多いと思うが、まずビブリオバトルについて紹介したい。

 

<ビブリオバトルとは>

立命館大学情報理工学部准教授の谷口忠大氏が2007年に提唱した、本の紹介とコミュニケーションを楽しむ書評ゲーム。

<公式ルール>

1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.

2.順番に一人5分間で本を紹介する.

3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う.

4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.

 

本をどのように紹介し、聴いている人の心を掴むかは、紹介する人の個性や感性に委ねられる。知識やデータで理論的に説得するもよし、シェイクスピアよろしくの巧みなストーリーで引き込むもよし、溢れんばかりの情熱でハートに訴えかけるもよし。まさに知的書評合戦と言えるイベントなのだ。

 

今回のビブリオバトルは二部構成。まず一回戦では、一般からエントリーした参加者4名が珍書を持ちあって対決する。勝ち上がった1名が二回戦に進出し、稀代の珍書ウォッチャーたちに混じって頂上決戦を行う。

 

二回戦で待ち受けるのは、ハマザキカク(社会評論社、珍書プロデューサー)、とみさわ昭仁(特殊古書店マニタ書房、ライター)、どどいつ文庫イトー(海外書籍販売員)、ひだまい(暗黒通信団)の珍書四天王だ。

 

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一回戦に出場する4名

 

 

出版業界のタブーに木彫り熊に珍道具に幻聴・妄想

 

早速一回戦がスタート。

トップバッターの新藤さんは、「出版界の最大のタブーに挑戦した本」として、『MOTHER(柏艪舎)』を紹介。

 

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実はこの本、一組の夫婦の出産に密着した写真集。何と、出産シーンでは女性器がバッチリ映っている。中学生の頃、女性器をどうしても見たくて、「医学書なら載っているかも」と図書館へ行ったものの、どれもぼかしが入っていて落胆した……という思い出話と共にプレゼンした。

 

二番手の安村さんが取り出したのは、『北海道 木彫り熊の考察(かりん舎)』。

 

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お土産で有名な木彫りの熊を、300体近く収集したという著者による一冊だ。木彫りの熊の歴史から、地域ごとによって異なる材質や熊のポーズを、写真付きで事細かく解説している。また作り手が減っている現状にも言及され、木彫り熊の未来を憂うと同時に、伝統文化の存続を願う内容となっている。

 

三番手で登場した現役の書店員である瀬部さんは、自身が働く店の洋書売り場でベストセラーになったという『The Big Bento Box of Unuseless Japanese Inventions : The Art of Chindogu』を紹介。

 

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タイトルは、直訳すると「役に立たないでもない日本の珍道具の世界」。著者は「日本珍道具学会」の川上賢司氏。あれば世の中が便利になるかもしれない? というコンセプトの、200個の珍道具が紹介されている。

 

例えば、二つの包丁に分度器が取り付けられ、ケーキを完璧な角度で切り分けられる「パーフェクトケーキカッター」。7個の使い捨てカメラで頭を囲み、シャッターを押すと360度のパノラマ写真が撮れる「全方位型カメラ」など、まさに珍道具を集めた珍書である。