【後編】文学好きに愛されるフォークシンガー・世田谷ピンポンズさんの魅力

 

音楽を続けるということ

 

2017年8月29日に開催された五周年記念公演「都会、なんて夢ばかり」より

 

――ピンポンズさんは出版関係の方との繋がりや、本に関わる中での活動を多くされています。けれどミュージシャンとして、活動場所をもっと音楽寄りと言いますか、あえて本と離れた場所で行ったり、純粋に音楽として追及していきたい、というお気持ちはあったりするのですか。

 

僕自身がどちらかというと音楽よりも本や漫画が好きなので、出版関係の方に評価されるのは単純に嬉しいです。音楽関係者の方にもっと認められたいという気持ちはもちろんありますが、同世代の友達ミュージシャン同士でへらへら褒めあうような関係にはあまり興味はなくて、ただただ自分が好きな人に認められたいという思いはありますね。

 

そこが結びついたら大きいだろうと思っています。あとは今のお客さんは女性やフォークが好きな世代の方が多いので、若い男性にももっと聞いてもらいたいです。

 

 

――では逆に、今後は歌だけではなく、小説を書きたいという気持ちはありますか?

 

書いてみたいですね。僕の歌をモチーフに小説を書いてくれている方もいらっしゃるみたいで、それはむしろ僕がやらなければいけないことだったんじゃないかなって(笑)。でもそういう風に聴いてくれる人がいるんだと思うと、可能性を感じて嬉しかったですね。

 

ずっと小説なんて書けるわけないという前提でいたので試したことはないんですが、自分が体験したことだけじゃなくて、想像で書いてもいいのなら書けるのかなと思いました。僕は今までものすごく貧乏だったり、いじめにあったり、こっぴどく振られて死にたくなったりとか、そういう不幸なことや劇的なことがほとんどなく生きてきたんですよね。

 

親には不自由なく育ててもらったし。そういう表現する人のバックボーンみたいなものがないのが僕のコンプレックスだったんです。でも想像で書いてもいいなら、そこに自分の経験を下敷きにして、私小説のようなものも書けるかもしれないと思いました。

 

 

――楽しみにしています! ところでお酒、5杯も飲んでらっしゃいますね(笑)。少々お顔も赤くなっていますが、お酒は強いのですか?

 

弱いんですけど、少人数で飲みに行くのは好きですね。記憶をなくすような飲み方ができないので、そこまで飲める人がちょっと羨ましいです。「どうやって家に帰ったかわかんないんだよ」なんて言ってみたい(笑)。

 

 

――うちの編集長はいつもそんな感じです……(笑)。それでは、インタビューはこれくらいにして、飲みましょう! おつまみも頼んだので、食べましょう。今日は酔っぱらってくださいね!

 

 

世田谷ピンポンズさんの音楽は、誰もが抱えているやるせなさや、些細な感情を掬い上げ、歌にしてくれる。私たちがやり過ごそうとする悲しみや、見逃してしまいそうな希望を、そっと目の前に示してくれる。

 

そんな彼の音楽は、文学好きだけにとどまらず、これからも多くの人々の心に響くことだろう。2017年にはCDデビュー5周年を迎え、さらに又吉さんが編集する雑誌「又吉直樹マガジン 椅子」に寄稿するなど、文筆業にも幅を広げつつある世田谷ピンポンズさんの、今後の活躍にも注目していきたい。(取材・文 ナガイミユ)

 

※世田谷ピンポンズさんの活動情報については公式サイトをご覧ください!