【1/7】『月に吠えらんねえ』清家雪子先生インタビュー 唯一無二の近代詩ワールド舞台裏

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――「高い芸術は」「大衆には…理解されないものだから」――

 

現在絶賛発売中の『月に吠えらんねえ』(講談社)最新刊・4巻における、主人公・朔くんの台詞である。自分の作品が大衆には理解されないと嘆く朔くん。でも朔くんに伝えたい。「学習マンガ100選」に選ばれたよ、と。「第2回 次にくるマンガ大賞」にノミネートされているよ、と。キテるよ朔くん、と。

 

 

「月吠え」繋がりということで、以前から関連記事を掲載してきた「月に吠える通信」としても、この人気ぶりは喜ばしい限りである。そして今回、ついに『月に吠えらんねえ』生みの親である清家雪子先生へのインタビューが実現した。

 

まさに朔太郎宜しく“しもつき上旬(はじめ)”のある朝、石川近代文学館で開催されたイベントについて、『月に吠えらんねえ』について、そして清家先生ご自身のことについてたっぷりとお聞かせいただいた。連載に加え、イベント開催が続く多忙な時期であるにも関わらず、清家先生は笑顔を絶やさず、こちらの質問のひとつひとつに丁寧に答えてくださった。

 

目次

 ファンとの初対面は感動!「リアルに読んでくれている」

 

―はじめに、先日石川近代文学館で行われたサイン会とトークイベントを終えた感想をお聞かせ下さい。

 

まず、読者の方々と直接会う機会が初めてだったので、「ああ、リアルに読んでくれているんだ~!」という感動が大きかったです。また、金沢での開催でしたが、北海道など遠方からきてくれていた方もいらっしゃるということで、すごくありがたいなあと思いました。

 

サイン会当日は、「(制限時間内に)間に合うか?!」と、「巻かなきゃ巻かなきゃ~~」という時間勝負だったのですが(笑)、意外と間に合ってほっとしました。みなさんのお力添えで順調に行うことができました。

 

 

―サイン会は石川近代文学館と、11月8日に川越ルミネのヴィレッジヴァンガードで開催されると聞き、「なぜ川越!?」と気になったのですがどんな理由があるのでしょうか?

 

川越のヴィレッジヴァンガードさんに、単行本の2巻くらいから展開をしていただいていて。今回はペーパーもあるのですが(※)、それも含めて先方から声をかけてくださいました。

 

山形でもペーパーを用意させていただいたのですが、そちらもお店の方が、前々からPOPなどで展開していただいていて。お店の方のご厚意があってできたことですね。書店さん頼りの部分も大きいので、ありがたいことです。

 

※4巻の購入者特典として、3種類の異なるペーパーをヴィレッジヴァンガードの川越ルミネ店ほか一部店舗でそれぞれ配布

 

 

―川越でのサイン会の前日に、前橋の文学館に行かれたとツイートされていましたが、どこか行ってみたい作家の記念館や文学館はありますか?

 

実は行けるところはだいぶ行っていて。柳川(北原白秋記念館/福岡県柳川市)とかも。

 

 

―そうなんですね! 行っていないところのほうが少ない、ですか?

 

そうかもしれないです。あ、でも、中原中也記念館は行けていないんですよ、山口の。是非行ってみたいですね。あと岩手の宮沢賢治の記念館も行ったことがないんですよ。石川啄木もいるし、岩手は行っておかないとだめだなあと思います。結構行っていませんでした…。

 

 

―印象に残っている記念館はありますか?

 

長野の小諸に、高浜虚子先生の記念館 (※小諸高浜虚子記念館) がありまして、別のところにもっと大きなところ (※虚子記念文学館/兵庫県芦屋市) があるのですが、そこはこじんまりしていて、「( 虚子)先生~!!」という感じで(笑)、俳句愛好者のお弟子さんの思いが詰まっているのが感じられて。「ああ、まだこういう愛され方を現役でされているんだなあ」と、印象に残っています。

 

企画展は「漫画と文学が見事にシンクロしていた」

 

―「月に吠えらんねえ」企画展の展示をご覧になった感想をお聞かせください。

 

石川近代文学館さんでは去年も展示をやってもらったのですが、私はその時行くことができなくて。実際に見てみると、漫画と連動しての展示ということで、見事にシンクロしていて感動的でした。

 

どちら(漫画も文学)も本当に理解してくださったうえで、さらにどちらにも興味を持ってもらえるように配慮されていて。ただ「文学の展示」とか、ただ「漫画の展示」ということではなく、「文学の枠内での(漫画の)展示」になっていたので、すごくありがたかったです。

 

 

―前日のギャラリートーク(※)では、学芸員のOさんもかなり熱く語っていらっしゃいました!その時にOさんは、まだ清家先生にお会いしたことがないということで、参加者の皆さんに向かって、「この中に清家先生いらっしゃいませんよね?!」とおっしゃっていました(笑)。

 

そうなんです、実は私その直後に行ったんです! 丁度ギャラリートークに参加された皆さんが帰られた後に入れ違いという感じで。「ああ今お客さんが帰っていましたね~」と話しながら、その後にもう1周特別にギャラリートークをしていただきました。(取材・文 ささ山もも子)

 

※石川近代文学館で、10月23日に開催された企画。石川近代文学館学芸員のOさんによる展示の解説が行われた

 

その2に続く

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