【1/3】生き辛さを抱えながら絶叫朗読 「カウンターたちの朗読会」の成宮アイコ 気持ち悪いって思われてもいいや

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photo:NaokiTajima

 

日本の年間の自殺者数は、およそ2万5千人(2014年度・警察庁発表)。原因は家庭問題や健康問題、経済問題などさまざまだが、単純計算で1日に約72人もの人間が自ら命を絶っていることになる。

 

苦しみを抱える人々が多くいるこの国で、同じように生き辛さを抱えながらも、詩を絶叫朗読することで生きる道を見出した女性がいる。

 

成宮アイコ。

 

赤い紙に書かれた詩を読み上げながら、次々とその紙を投げ捨てていく。彼女の高く澄んだ声で発せられる飾り気のないストレートな言葉は、聴衆の心に不意打ちのように深く突き刺さる。イベント「カウンター達の朗読会」の開催を7月に控える彼女に、その活動や過去の経験、自身の考えについて詳しく語ってもらった。

 

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上手くできない会話の鬱憤を文字に

 

―現在の活動について教えてください。

 

心身障害者たちによるパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」のメンバーとして活動しています。「こわれ者の祭典」は、病気を抱えている人がパフォーマーとなり、どう向き合ってどう回復したかをテーマに、笑いを交えたトークやパフォーマンスを行うイベントです。19歳のときにメンバーになり、もう10年以上活動をしていますね。

 

 

―どのようなきっかけでメンバーに加わることになったのでしょうか?

 

私は子供の頃から家庭内暴力を受けてきました。社会不安障害になり、リストカットも経験。高校生になっても全然人と話せなくて、その鬱憤から、思っていることを文字にして個展を開くようになりました。友達がいなかったので毎日通って、言葉を付け足していく日々。

 

そんなあるとき、(「こわれ者の祭典」代表の)月乃光司さんが見に来てくれて、「この気持ち悪い人は何なんだ」と。「こわれ者の祭典を手伝わないか」って誘われて、いつの間にか参加メンバーになっていました。

 

 

自分の格好悪い部分を話していたら、笑えてきた

 

―月乃さんとは元々知り合いだったのでしょうか?

 

高校生の頃、知り合いに誘われて、「金曜ロ―ドクショー」という朗読イベントに行ったことがあったんです。みんなが真面目に淡々と朗読をしている中で、ひとりだけパジャマを着て「アル中になって良かった!」みたいなことを言っているオジサン(月乃さん)がいて。

 

それを見た瞬間、自分よりもっとひどい人がいるじゃん、と思えてすごく楽になって。(笑)

 

それまで、私は家族のこととか不登校のこととか、自分の格好悪い部分を他人に話すつもりはなかったんです。だって、スティーブ・ジョブズの「人生こうすれば上手くいく」みたいな本を読んでも、何ひとつ自分とリンクするところがない。そんな自分のことを話してもしょうがないと思っていたから。

 

それが、月乃さんが広いおでこにライトを反射させて、「ハゲてて良かった!」ってカッコ悪い部分をさらけ出しているのを見ていたら、「この人になら心を開いてもいいかな」って思って、話しかけたのがきっかけでした。

 

 

―舞台に立つようになってからは、自分のことを表現できるようになったのですか?

 

いいえ。「この人、気持ち悪い」って思われるんじゃないかと思って、最初は大勢の前に立つことができませんでした。なので代わりにぬいぐるみを真ん中に置いて、自分は舞台の端で朗読をしたりしていました。

 

でも、来てくれたお客さんが「私も人と話せない」とか、「橋を渡ろうとすると、崩れそうで渡れない」とか打ち明けてくれて、共感を覚えたことがあって。それで、自分も格好悪い部分を話してたら、段々笑えてきてしまったんです。

 

そのうちに「気持ち悪いとか思われても、それはそれでいいや」って思えて、舞台の真ん中に立てるようになりました。(取材・文 ぶっきー)(その2に続く