【3/3】尊大を持たない又吉直樹と、彼の文壇バー巡礼の旅  『火花』には夢を持ってる人に対する思いを書いた

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※前回の記事はこちら

最後に訪れたのは、新宿ゴールデン街にある日本一敷居の低い文壇バー「月に吠える」だ。このWEBマガジン「月に吠える通信」を運営するお店でもある。先に紹介した「風紋」「猫目」と比べると、年数も知名度も圧倒的に低いが、作家を目指す若者たちがたくさん訪れるこのお店に、ぜひ又吉さんを案内したかった。

 

目次

毎日楽しかったら、おもろないちゃうんかなって思うんです

 

―又吉さんは、新宿ゴールデン街に行くことはあるのですか?

 

たまに行きますね。こないだも本社で仕事終わって、帰り際に行きました。大体適当な店に入りますね。

 

 

―いきなり入って行って、驚かれません?

 

こないだはママに、「又吉さんに似てますね」って(笑)。お客さんがそんなおらへんかったんですけど、隣で飲んでた男の子が俳優なりたい言ってて、僕が3杯飲む間に、その子の夢を聞いて、おごって店出ました。

 

 

―そうだったのですね(笑)。ところで又吉さんは、バイトをしながらNSCに通っていたとき、才能がある人に嫉妬して、個性があるように振る舞っている人に嫌悪感を覚えるなど、少々モヤモヤしていたそうですが、そこからからどう吹っ切れることができたのですか?

 

ずっとモヤモヤしてますし、今もモヤモヤしてますよ。でも、いいんじゃないですかね。先輩の話とか聞いてても、みんなモヤモヤしてるんですよね。

 

僕らなんて、来週どうなっているか分からないみたいな。無いでしょうけど、相方が犯罪に手を染めたりとか(笑)、僕も巻き込まれて仕事なくなったとか。その反対もありますからね。僕がいらんことしてもうて、相方が喰いっぱぐれることは十分考えられる世界ですからね。その不安みたいなものはあります。

 

でもそのくらい思っている方が、たまにいいことあった時が楽しいですけどね。毎日楽しかったら、おもろないんちゃうかなって思うんです。ちょっとしたことでも嬉しいですもんね、不安やったら。

 

 

―ちょっとした嬉しいこととは、例えばどんなことですか?

 

食いもんのことで結構ありますね。筍の季節が来たなぁ、美味しいなぁ、とか。

 

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