【後編】第53回文藝賞「青が破れる」町屋良平さん―言葉と小説の関係をめぐって

 

飲むと集中できる? 町屋さんとお酒の関わり。

 

――ここまで、小説や町屋さんご自身のことについて色々と聞かせていただきましたが、せっかく「月に吠える」のWebマガジンということで、お酒のことについてもお聞きしたいなと思いまして。町屋さんはお酒はお好きですか。

 

実はあまり飲めないんです……すみません(笑)。普通に一杯、二杯くらいなら。あ、でも本を読むときは、お酒を飲むと頭がすっきりして、集中できるときもありますね。人によっては飲んだときに読むと記憶から抹消されるって言う人もいるんですけど、ぼくはどっちかというと集中できるタイプですね。

 

 

――そうなんですね。眠くなったりしてしまいそうですが……。

 

不思議と眠くならないんですよね。些末な悩みとか、余計な考えがなくなって、集中できますね。

 

 

――たしかにご自身で小説を書かれるとなると、読むことがそのまま仕事に直結するということもあると思いますが、小説を読むときには自分が書くことと結び付けて考えながら読むものですか? それともなるべくそういうことは考えないで読みますか?

 

書くことと読むことに関しては、もう何がなくともすることなので、あまり何かを意識するということはないですね。

 

 

――生活の一部といいますか、生きていく上で自然にやっているということですかね。

 

そうですね、生活ですね。なので、あまり気をつけていることというのは……自分の小説を書いている時の本の選び方なんかは多少意識することもありますが、それくらいですね。

 

文章の感じが強い人、自分に移りがちな人とかは、タイミングによっては読むのを遅らせることはあります。やっぱり一部の作家さんは移りやすいというのがあるので。内容というよりは、文章の感じが入ってきちゃうんですよ。内容が似ることっていうのはないんですけど。優れた作家さんだと、読んでいるうちに文章の感じが近しくなってくるんですね。

 

文章の感じっていうのは、文体って皆さんよく使われるんですけど、そもそもの思考の方法が文体に入っちゃってるから、思考がその人の方法になってしまうんですね。それはすごく気をつけています。

 

 

――具体的にこの作家さんは入ってきやすいというのはありますか。

 

磯崎憲一郎さんとかですね。一見似なさそうな小説なんですけど、とても入ってきやすいですね。そこは磯崎さんの素晴らしいところだと思います。文章と思考の結びつきがほんと、独特で、魅力的で。文藝賞の先輩なので授賞式でお会いしたんですが、すごくいい方でした。

 

 

――そうなんですね。自分と似ているものがあるから余計に引っ張られるということもあるんでしょうか。

 

実は全然似ていないんです。似ていると思う人はほとんどいないと思います。でも、引っ張られちゃうんです。ほんとに偉大な作家さんなんで、比べるのもおこがましいことですけど。思考の癖みたいなものがそうなってしまうということですね。


 

アドバイスは「生活と小説をうまく結び付けること」

 

――では、最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

 

ぜひご自分の中の「青」を見つけてください!

 

 

――素敵ですね。先ほど、タイトルの青は読者の方に委ねているという風にもおっしゃっていましたが、それを見つけてもらいたいということですね。あと、「月に吠える」には小説家志望の方もいらっしゃるので、ぜひそういった方にもメッセージをいただければと思います。いいところまでいったけれどデビューできない人たちが、そこを越える方法といいますか、越えられる人越えられない人の差があるとしたら、何だと思いますか。

 

僕も聞きたいくらいです(笑)。あえていうなら、生活と小説をうまく結び付ける、生活と小説をできるだけ繋げて作るということですね。ぜひ良い作品を書いて、読ませてください。素敵な作品を読めることを楽しみにしています。(取材・文 ナガイミユ)