出版甲子園グランプリの舞台裏
――篠原さんは出版甲子園の第10回大会でグランプリを受賞し、『恋する昆虫図鑑』で書籍デビューしました。そもそも、この大会に参加しようと思ったきっかけはありますか?
高校時代の友人が第10回大会で出版甲子園の代表者と司会を務めていたので、それでこの大会の存在を知り、参加を決めました。
――本の企画を練る際に心がけたことがあれば教えてください。
当時昆虫ブームのようなものが起きていて、世のなかには私が考えたような本と同じような趣旨の本がたくさん出回っていたので、類書研究をしっかり行うことを心がけました。私はまだ学生で、どうしても専門家には知識面で勝つことが難しい。
そこで、本にする際にはオリジナリティが必要だと思って、類書と差別化を図りながらも、うまくブームにのっかれる方法を考えていきました。
あとは、自分で書いていて楽しいと思えるものを企画にするよう心がけましたね。それでできたのが「恋する昆虫図鑑」です。
――自分で書いていて楽しい、というのはやはり重要なのですか?
出版甲子園でこれまでグランプリに輝いている作品だと、勉強の参考書だったり、変わった経歴を持つ著者のものだったり、あとはその当時の流行をおさえたものが入ってくると思います。
でも、やっぱり思い入れがあって、自分で書いていて楽しいと思えるもののほうが、情熱も人一倍かけられると思うので、私は好きな昆虫で企画を練ろうと考えました。
――書籍化が決まり、実際に『恋する昆虫図鑑』を執筆してみた感想は?
ネタ出しをするのがたいへんでしたね。出版甲子園の審査で企画書を書くときは、実際に少し執筆もしてみるんですけど、自分のイチオシページの分だけを書けばいいので、まだ楽でした。
でも、実際に執筆するとなると、いろんな昆虫のネタを集めないとだめで、しかも『恋する昆虫図鑑』は活字が中心なので、そのネタの量も膨大なものになりました。昆虫はほかの動物に比べて生態が限られているので、本にしたときにおもしろそうな昆虫を探すのには苦労しましたね。(取材・文 谷村行海)