『cocoon』『アノネ、』など、現代の女の子の視点で戦争を描く漫画家 今日マチ子さん

 

近代詩を読んで一気に作風が変わった

 

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戦争三部作は完結しましたが、戦争物はこれ以降も描かれていくのですか。

 

はい。きりがいいので三部作と言っているだけで、描き続けていきますよ。戦争は人類が存在している以上、逃れられないテーマです。ひとつの作品を書き上げるごとに、また別の題材を発見することも多いですし。今もいくつかテーマが見つかってきて、少しずつリサーチをしているところですね。

 

 

最近、世界情勢の変化が目立っていますが、戦争の作品を描いていて何か思うことはありますか。

 

本当に戦争が起きてしまったら、戦争漫画は必要なくなりますよね。もっと夢のある話だとか、皆が癒される話を準備しないといけないのかな、と思います。なので世界情勢が悪くなっている今、あまりリアルな戦争物は必要とされていないのでは、と感じることがあります。

 

 

ところでこのWEBマガジンは、萩原朔太郎の『月に吠える』から名前を取っているのですが、今日さんは萩原朔太郎の影響を受けているそうですね。

 

はい。2004年からネットで『センネン画報』という作品を一日一ページで描いていたのですが、最初は殴り書きのギャグ漫画みたいだったんですよ。何年か描き続けていて、このまま続けていても意味がないな、と。そのときに、そういえば私は詩が好きだったなと思い起こして、近代詩を読み返したんです。親が寺山修二を好きだった関係で、小さいころから詩に親しんでいたんですね。萩原朔太郎も含め、大人になって改めて読んだときに、一気に作風が変わった時期がありました。

 

 

具体的にはどのように変わったのでしょう?

 

『センネン画報』を読んでもらうと、絵柄やテイストが一気に変わった時期があるので、気づいてもらえると思いますね(笑)。萩原朔太郎は暗い詩が多いですが、リズム感が好きなんです。私も漫画を描くとき、コマとコマの間のリズムを重要視していて、そういうところで詩はとても役立ちました。

 

 

―そうだったのですね。これからも新作に期待しております。本日はありがとうございました!

 

 

あとがき

 

戦争を通じて少女たちを描き続けている今日マチ子さん。彼女の漫画は、戦争を知らない世代の若者たちの胸にも切なく響く。同時に、歴史の教科書には書かれていない多くの示唆を、私たちに与えてくれる。

 

時代がいつであっても、少女が少女であることは変わらない。等身大の彼女たちが発信するメッセージは、戦争という境遇の中で、より純度を増して響き渡っている。(取材・文 中澤雄介)