【後編】北大路翼×成宮アイコ 自分のルールで生きるのが表現者の矜持
来年はイメチェンしたい
――改めて、今年一年の振り返りと、来年したいことをお聞かせください。
北大路
今年は行事がないから、季節を感じなかったな。コロナが広まり始めたころ、公園で花見をやってたら、僕が座ってるベンチに職員の人が来て、「座るな」みたいなシールを貼ろうとするんだよ。先に座ってるんだからって、意地でどかなかったけどね(笑)。
それが最初で、夏に海に行っても海の家がないし、秋もお祭りがない。暑いとか寒いとかしかわからないから、気持ちの区切りがないよね。ずるずると日常があるだけで、今年は何もなかったみたいな感じがする。
成宮
心は4月のままだから、(対談を行った12月中旬時点で)今年は残り二週間とか言われても、「私まだ4月なんだけど」って気持ちです。
北大路
そうだよね。来年やりたいことは、イメチェンをしていきたいな。『加藤楸邨の百句』はNHKが取り上げてくれて、結構売れたんだ。割と真面目に書いたから、「北大路、やればできるじゃないか」って思ってもらえたかなと。
僕、これまでテレビ出演も深夜番組ばっかりだから、イメチェンして昼にも出られるようになりたい。アウトローと思われるのはうれしいけど、自分からアウトローですと名乗るのも変な話ですから。
成宮
私も似たことをちょうど考えています。これまでのライブは、「みんな、死ぬな!」って拳を突き上げる感じだったんです。でもそれだと、生きづらさを抱えているピンポイントの人には届くけれど、グレーゾーンの人には届きにくいと思って。
なので『伝説にならないで』の朗読CDは、極力自分の意思を入れない作品にしたんです。エンジニアの方に、「私の思いが薄まったとしても、射程範囲が広まるようにしてください」って依頼しました。私も朗読のイメチェンしたい!
北大路
あとは、コロナが落ち着いたら、全国を回りたいな。僕、ネットで知り合った人たちがいろんな地方にいて、「屍派〇〇支部」みたいに遊んでくれている。今まではたまに行ってイベントしてたんだけど、この状況でできなくなっちゃったから、行けるようになったらまた旅したいね。アゴアシだけもらえれば、いつでも行くから呼んでほしいな。
成宮
直接行くのはいいですよね。夏に(大阪の)釜ヶ崎で開かれるイベントにいつも出してもらっていたんですけど、今年はコロナで関西の人しか出演できないことになっちゃったんです。自分の中でめちゃくちゃ楽しみな毎年のイベントだったのに、出られなくなってしまったから、早く行きたいです。釜ヶ崎に帰りたい。あと北大路さんとも、来年ぜひ一緒にイベントやりたいです!
北大路
いいね。SMショーでもやろうか? 「死ぬな!」って言われながら俺が叩かれるっていう。
成宮
そっちですか!? 勉強しておきます(笑)。
(取材・文 月に吠える通信編集部 取材協力・砂の城)