「そのまんまの美しさ」を届ける植物図鑑『微花』—後編—

どうも。月に吠える通信ライター、サカモトアヤコです。前編後編と分けてご紹介している植物図鑑『微花』。

 

 

微花とは

図鑑です。名ざせない植物、との距りの。季刊誌です。その名を知るまでのひとときの季節の。目ざましいものではなくてかすかなものを、他をしのぐものではなくて他がこぼすものを、あらしめるもの、またあらしめようと目ざすこころみです。

『微花』より引用

 

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『微花』はリトルプレスの植物図鑑なのですが、写真やデザイン、文章へのこだわりが半端ないのです。前編では微花の誕生秘話について詳しくご紹介しました。この後編では二人と植物の関係性や想いに焦点を当てました。読めば、微花に隠されているたくさんのこだわりに気づくはずです。

そんな後編は、石躍さんのちょっとした悩みからスタート。なんだか相方の西田さんが最近少しおかしい、らしい? 今回も読み飛ばすなんて厳禁ですからね!

 

『微花』な2人と植物の間柄

 

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写真・デザイン担当の西田有輝さんと写真・文章担当の石躍凌摩さん。

 

石躍: アヤコちゃんに聞いてほしいことがあるんです!  最初、僕の想いがきっかけで植物図鑑を始めたのに、最近は西田さんの植物愛が異常な高まりをみせているんですよ。ほんとおかしくて、知識量もドン引くレベルで(笑)。

 

アヤコ:一体、何があったんですか?笑

 

西田:この間、僕はハルジオンを見つけたんですよ。ハルジオンって通常、秋には咲かないんですけど。 季節外に咲いている花を見たら普通、興奮するじゃないですか!

 

冬に桜見たら興奮するでしょ? それと同じ。「なんで君はこの季節に咲いているんだ! 何者なんだ!」ってずっと考えていたら、夢にも出てきたくらい(笑)。 夜にわざわざライトをつけてまで見に行ったり、1日に何回も触っていたりもしたなあ。

 

アヤコ: よく職質されませんでしたね。(真顔)

 

西田:ほんまにそれ(笑)。それからどうもこの興奮を誰かに伝えたくなって、石躍にLINEを送ったんです。 そしたら、「西田さんがおかしいっすよ」って返されて。植物図鑑作りたいって言い出したこいつには僕の興奮が伝わると思ってたのに、残念やなあと思いました。

 

石躍:だって、愛し方が尋常じゃないんですもん(笑)。

 

アヤコ:まだ植物に目覚めていない西田さんから『微花』のことを聞いた時、「雑草に焦点を当てるんだよ」って言われたんです。 でも、今の西田さんは植物を雑草とは絶対に言わない。むしろ尋常じゃないぐらい愛しています。『微花』では「名ざせない植物、との距り」という文章が毎号出てくるのですが、お2人と植物は一体どんな間柄なんでしょうか?

 

西田:お友達(即答)!  僕は植物にあだ名をつけて呼んでいるからね。ムクゲのむくちゃんとか。 お友達は言いすぎたかな、近所に住んでいる子どもみたいな間柄です。だから、よく挨拶したりしますね。「今日もムクちゃんは元気やなー、おはよう」って。名前を知ると一気に親しみも出てきますしね。

 

まあ、名前を知らなくても、「お前誰やねん」って突っ込むけど(笑)。その後、すぐに名前を調べる。名前がわかると、お友達が増えていく感じがしてとても面白いですよ。

 

アヤコ:植物が擬人化されているんですね! 一方で石躍さんは?

 

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石躍:植物と僕との距離は遠いし、それはこれからも絶対に埋まらない距離だから「甚だしい」っていう言葉が似合うのかもしれません。名前を知らない植物が無限にあるからそう感じるんですよね。

 

例えば、植物って自ら「私はユキヤナギです」って自己主張をしないじゃないですか。植物がないと人間は死んじゃうのに、自己主張しない彼らのことを僕らはあまりにも知らなさすぎるんですよ。だから甚だしい。でもとても愛おしい。

 

西田:僕ね、こんなにも植物を想っている石躍が書く文章を読むと、いつも泣いちゃうんです。

 

アヤコ: ええ! どうして? というか、その涙はどんな感情? 嬉しさ? 喜び?

 

西田:僕は植物を見ていろんなことを思うんですけど、言語化が下手でいつも上手に表せないことが多いんです。でも石躍がまさに僕も思っていたようなことを言葉で表してくれるから嬉しくなるんです。

 

それに、僕が丹精込めてとった写真に、こいつの考えた文章が添えられることで、さらに良くなっていきます。それは晴れ着を着せてくれた感じがして、思わず泣くんです。これは、娘の結婚式に出ている父親の気持ちかもしれないです(笑)。